■OASIS heart 8号
しっかり食べて、しっかり透析! |
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皆さんは透析についてどのように考えておられますか?おそらく、つらい、長生きできない、自由がきかないなど、マイナスのイメージを持っておられるのではないでしょうか。しかし、実はそんなことはないのです。
透析中の飲食の有無を評価してみようOasis Heart 第2号“元気がでる透析医療のコツ” でお伝えしたように、透析時間が死亡のリスクを下げるのです。食事の制限も緩やかになり、またその方が健康にも良いのです。そう、しっかり食べて、しっかり透析をすることが重要なのです。透析患者さんの死因では、心不全と感染症が多いのが特徴的で、栄養をとって体力をつけることが重要なことがわかります。 ここで「我が国の慢性透析療法の現況(日本透析医学会 2009年12月)」のデータから見てみましょう。 まず、図1を見てください。グレーの棒グラフ(年齢、透析歴などの基礎な要因の影響を取り除いたもの)を見ると、透析時間が長いほど死亡リスクが低減していることがわかります。さらに、透析量の違い(ブルーのグラフ)や、栄養指標の違い(オレンジのグラフ)による影響を取り除くと、透析時間が短い場合は、グレーのグラフに比べ死亡リスクが低減していますね。 言い換えれば、透析時間が短い患者さんでは、少ない透析量や不十分な栄養指標が死亡リスクを高くしていることになります。 死亡リスクを低減するためには、透析量が多いことに加え、しっかり透析をすることで、しっかり食べることができること、しっかり食べて体力・抵抗力をつけることが大切であるということなのです。 標準的な透析では、透析が足りない!週3回では8時間必要?ここでもう一つの重要な指標であるHDP(HemoDialysisProduct)を紹介します。HDPは透析のスケジュールに着目した指標で、次の式で計算します。この値が大きければ大きいほど望ましい透析ができているということになり、統計的に72以上が適正と言われています。「HDP=(1週間の透析回数)2 × 1回の透析時間」です。 では、一般的な週3回、4時間の透析のHDPはいくつになるでしょうか。「32 × 4=36」です。 適正値72の半分にしかなりませんね。42以上が必要で、36では透析が不十分で栄養失調になってしまうと言われています。週3回の透析ではなんと「72÷9=8」となり、1回8時間の透析が必要になってしまいます。これは大変ですね。 図2が示すように、透析回数を増やすことで1回の透析時間を効果的に短縮することが可能です。毎日透析をすると、1回約1.5時間の透析で十分なのです。また、透析を実施する毎に体内の尿毒素や体液量、血圧が変動しますが、回数が多いとその変動幅が小さく、身体に与えるストレスを抑えることができます。しかし、これは、現在の医療保険制度では、在宅透析でしか実現できませんね。 健康で長生きをしてもらいたい
そのため当院では、施設透析で可能な範囲で、以下のような (Visited 1 times, 1 visits today) |