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2025年11月06日

透析レセプトに必要な病名とは?慢性腎不全・糖尿病性腎症の扱い方

透析治療のレセプト作成において、正しい病名の記載は重要です。特に、透析導入の主要な原因疾患である「慢性腎不全」や「糖尿病性腎症」の扱いは、診療報酬の算定に直接影響します。算定漏れや返戻を防ぐためには、病名と診療行為、そして加算項目を正しく関連付けてレセプトに記載する必要があります。

本記事では、透析レセプトで求められる病名の基本ルールから、慢性腎不全や糖尿病性腎症といった具体的な病名の記載方法、さらには算定可能な加算項目まで解説します。

診断

透析レセプトに必要な病名の基本と注意点

透析レセプトにおける病名記載は、単に治療の事実を示すだけでなく、 医学的必要性を証明するために重要となります。不適切な病名や記載漏れは、査定や返戻の対象となるため、細心の注意が求められます。

基本ルール

主病名は最も医療資源を投入した傷病名

厚生労働省の指針によると、入院期間中に最も医療資源を投入した傷病名を「主病名」として記載することが原則です。透析治療においては、透析導入の原因となった疾患が主病名に該当します。

医学的妥当性と整合性

記載する病名は、行われた診療行為(人工腎臓)と医学的に整合性が取れていなければなりません。例えば、「慢性腎不全」の病名があると、人工腎臓の算定が妥当と判断されます。

正確な病名の記載

略語や俗称は避け、医学的に正確な病名を記載する必要があります。また、「~の疑い」といった疑い病名は、診断が確定した時点で速やかに確定病名へ変更する必要があります。

注意点

病名の整理

「慢性腎不全」と「腎機能低下」など、類似しているけれどもステージが異なる病名が混在しないよう、病状を適切に表す病名に整理することが重要です。CKD(慢性腎臓病)のステージ分類に沿った記載が推奨されます。

診療開始日の正確な記載

レセプト上の診療開始日は、その病名での診療を始めた日を正確に記載する必要があります。


・公益社団法人 東京都医師会 開業医のための保険診療の要点(II. 診療科別の基礎知識)[13] 腎臓−透析

透析算定に関連する病名の具体例

透析レセプトでは「透析に至った原因(原疾患)」と「透析を必要とする現在の状態」の両方を病名で明確に示すことが重要です。

原因

慢性腎不全

原疾患によって腎機能が著しく低下し、生命維持のために透析が必要な状態であることを示す病名が「慢性腎不全」です。人工腎臓(J038)の算定に、この病名は必須です。レセプト上では、透析治療を正当化する「現在の状態」としての役割を担います。

糖尿病性腎症

新規透析導入の原因として多い疾患が糖尿病性腎症です。レセプトには、「2型糖尿病」といった原因の糖尿病名と合わせて「糖尿病性腎症」を記載します。なお、糖尿病性腎症の病期分類における第5期が、末期腎不全(透析療法期)に該当します。

その他の原疾患

糖尿病性腎症以外にも、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎のような病名が考えられます。


・今日の臨床サポート 診療報酬点数 J038 人工腎臓(1日につき)

透析レセプトでの加算項目

透析治療の基本点数に加え、特定の条件を満たすことで算定できる加算項目があります。これらを適切に算定するには、病名だけでなく、実施した医療行為や施設基準を満たしていることをレセプト上で明確にする必要があります。

加算

導入期加算

患者が安定して維持透析に移行できるよう、入院または外来で透析を導入した日から30日以内に算定できる加算です。

長時間透析加算

透析時間を標準の4時間から延長し、6時間以上の透析治療を行った場合に算定可能です。特に、透析中の血圧低下が著しいなど、通常の透析治療では管理が難しい兆候がある患者が対象となります。

透析液水質確保加算

透析液の水質を担保するために、日本臨床工学技士会などが定めた基準を満たす厳しい管理体制を実施している施設が算定できます。

慢性維持透析濾過加算

オンラインHDF(血液透析ろ過)など、通常の血液透析よりも多くの老廃物を除去できる治療法を実施した場合に算定可能です。

透析時運動指導等加算

透析患者を対象に、医師や看護師、理学療法士などが運動指導を行った場合、指導を開始した日から90日間に限り算定できる加算です。

・今日の臨床サポート 診療報酬点数 J038 人工腎臓(1日につき)
・一般社団法人 全国腎臓病協議会 腎臓病について

まとめ

透析のレセプトでは、原因である糖尿病性腎症により、慢性腎不全になったというように、原因から結果への流れがわかるように整理して記載することが重要です。また、導入期加算や長時間透析加算などの加算項目は、条件や実施内容を正確に反映させて算定する必要があります。病名・行為・加算を整理して記載することで、返戻を防ぎ、適正な診療報酬算定につなげましょう。

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