断水時の人工透析はどうなる?患者さんが知っておくべき備えと対策
人工透析で大量の水が使用されます。地震や台風などの自然災害による断水が起きた場合に、人工透析は受けられるのでしょうか。この記事では、断水が人工透析に及ぼす影響、透析患者さんが知っておきたい日頃の備えや断水が起きたときの行動手順について解説します。
断水が人工透析に及ぼす影響と治療が中止になるケース
人工透析では、血液中の老廃物や余分な水分を取り除くために透析液という液体を使用します。透析液を作るためには、不純物を取り除いた清浄な水が大量に必要です。透析患者さん1人の1回の透析治療に使われる水量は、約120L以上にも及びます。
そのため、断水になり、透析治療に使用する水道の供給がストップすると、基本的には透析治療を行うことができません。多くの透析施設では災害に備えて受水槽を持っていますが、その容量には限界があります。自衛隊や自治体から給水支援を受けて透析を行える場合もありますが、給水を受けられない場合は中止せざるを得ないでしょう。
いつも通っている施設で人工透析が受けられない場合は、断水していない地域に避難してほかの透析施設で治療を受けることになります。
・一般財団法人 北里環境科学センター 人工透析用水の化学的分析
・根木茂雄,龍田浩一,重松隆. 災害時の透析医療と危機管理 日腎会誌2013;55(4):534-538.
断水に備えて患者さんが日頃から準備しておくべきもの
もしもの断水時はいつも通っている透析施設で透析治療が受けられなくなるかもしれません。透析患者さんが断水に備えて準備しておくべきものについてお伝えします。
連絡方法の確認
災害による断水時には、いつも通院している透析施設や行政の窓口の連絡先、お住まいの自治体の透析に関する災害情報窓口などを確認しておきましょう。
代替透析医療機関の確認
通院している透析施設が災害時の代替透析医療機関と連携している場合もあります。決まっていない場合は、災害時の避難先として考えられる親せきや知人がいる地域の透析施設を探しておきましょう。
災害時透析患者カードの準備
断水時はほかの透析施設で透析治療を受ける場合もあります。東京都が作成している「災害時における透析医療活動マニュアル」に災害時透析患者カードが掲載されています。これは、透析治療を受けるために必要なデータや検査データのほか、緊急連絡先や災害時の食事のとり方のポイントなどがまとめられているカードです。万が一に備えて準備しておきましょう。
災害時に持ち出す物の準備
透析治療を受ける際に必要な物、透析患者さんの制限食に対応した保存食、連絡をとるために必要な物品などを備えておくことが大切です。以下の持ち物を準備しておきましょう。
- いつも飲んでいる薬
- 災害時透析患者カード
- 保険証(マイナンバーカード)
- 各種医療証
- 身体障害者手帳
- 特定疾病療養受療証
- お薬手帳のコピー
- 止血バンド
- 透析保存食
- 飲料水
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- モバイルバッテリー
- ラジオや懐中電灯の電池
- 絆創膏
- タオル
- スニーカー
- 現金 など
断水が起きた際の行動手順と透析施設へ確認すべきポイント
実際に災害が起きて断水してしまった場合、慌てずに以下の手順で行動しましょう。
1.まずは身の安全を確保し、待機する
災害での断水の場合は、まずは自宅で身の安全を確保し、テレビやラジオで地域の被害状況を確認しましょう。勝手な判断で透析施設へ向かうのは危険です。道路が寸断されていたり、病院自体が被災して閉鎖されていたりする可能性があります。
2.透析施設との連絡方法に従って連絡を取る
災害時の透析施設の連絡方法に従って連絡を取ります。連絡がつかない場合は、日本透析医会災害時情報ネットワーク(https://www.saigai-touseki.net/)を確認しましょう。
3.薬の管理、食事の管理
災害時には十分に透析を受けられないかもしれません。薬と食事の管理をしっかり行いましょう。いざという時に迷わないよう、災害時の対応について事前に主治医に確認しておくことが大切です。
まとめ
人工透析患者さんにとって、断水は治療の継続に関わります。災害時に断水は起こりやすいため、万が一の事態に備え、緊急連絡先を確認し、災害時の持ち出し品を準備しておくことが大切です。ほかの透析施設で透析治療を受けることも考慮し、透析に必要なデータを記載した災害時透析患者カードも準備しておきましょう。
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