透析患者は寿司NG?ネタ別・量の目安を解説
日本人にとって馴染みの深い寿司は、祝いごとのごちそうや外食の定番ですが、透析治療を受けている方にとっては塩分、カリウム、リン、そして水分の管理が欠かせません。「一度に何貫までなら大丈夫?」「どのネタなら安心?」といった不安も出てくるでしょう。
透析患者さんでも量と内容を調整すれば寿司を食べることは可能です。ただし、そのためには注意したいネタと選択しやすいネタをあらかじめ知っておくことが大切です。寿司の栄養を把握し、楽しんで食事をしましょう。
透析中でも寿司は食べられるのか
結論として、透析中でも寿司を食べることはできます。ただし、日常の食事以上に「量」と「質」のコントロールが求められます。日本透析医学会の「慢性透析患者における食事療法基準(2014)」では、以下のような管理目標値が設定されています。
- 塩分:6.0g/日未満
- カリウム:2,000mg/日以下
- タンパク質:0.9〜1.2g/kg(標準体重)/日
- リン:タンパク質(g)×15mg以下/日
寿司1人前(約10貫)は、1食の目安量に近くなることが多く注意が必要です。そのため、寿司を食べる日はほかの2食で調整しましょう。
透析患者が寿司で注意すべきポイント
寿司を食べる際に、特に注意すべき塩分、カリウム、リンについて、具体的な数値を挙げながら解説します。
シャリに含まれる塩分
寿司の塩分といえば醤油をイメージしがちですが、シャリ(酢飯)自体にかなりの塩分が含まれています。
一般的な寿司1貫のシャリの重さを20gとすると、10貫食べるとシャリの合計は200gになります。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」によると、店によっても差はありますが、一般的な配合ではシャリ200gあたりの塩分(食塩相当量)は約2.0gです。
これに醤油(小さじ1杯で塩分約0.8g)を加えると、合計で約2.8gになります。1日の制限量6gの約半分を1食で占めてしまうため、注意が必要です。
生魚のカリウム
魚介類は良質なタンパク源ですが、生魚にはカリウムが多く含まれています。例えば、人気のマグロ(赤身)に含まれるカリウムは100gあたり約400~450mg、ハマチは約390mgです。
1貫あたりのネタを15gとし、マグロ中心に10貫食べれば、カリウム摂取量は約600~675mgに達します。1日の上限が2,000mgであることを考えると、1食でこれだけ摂取する場合は、生野菜や果物などカリウムの多い食品を控える工夫が必要です。
練り物や魚卵のリン
リンの管理で注意したいのは、添加物(無機リン)を含む加工品です。カニカマなどの練り物や、イクラといった魚卵にはリンが多く含まれます。
リンの摂取目安は「たんぱく質量(g)×15mg」とされています。例えば10貫の寿司でたんぱく質を30g摂取した場合、リンの許容範囲は450mgとなりますが、イクラ(100g中530mg)などを選びすぎると、この数値を簡単にオーバーしてしまいます。
比較的安心な寿司ネタ/気をつけたい寿司ネタ
透析患者さんがお寿司を食べるときに比較的安心できる寿司ネタと気を付けたい寿司ネタの選び方の目安をまとめました。
比較的安心なネタ
以下のネタはカリウムやリンが比較的少なく、組み合わせに取り入れやすいものです。
- コウイカ(100g中):カリウム220mgと、魚類に比べて控えめです。
- あまえび(100g中):カリウム310mg、リン240mgとともにバランスが良く、選択しやすいネタです。
- ゆでだこ(100g中):カリウム240mg、リン120mgとカリウムやリンが控えめです。
気をつけたい寿司ネタ
マグロやイクラ、甘だれをつけて食べるネタは注意が必要です。
- マグロ赤身(キハダ・メバチ・ミナミマグロ):カリウムが約400〜450mgと高く、量を調整する必要があります 。
- 魚卵(イクラなど):リンが非常に多いため、少量にしましょう。
- 加工ネタ(穴子、うなぎ):タレに多くの塩分が含まれます。タレの量を少しにするなどの調整が必要です。
まとめ
寿司を食べてはいけないわけではありません。しかし、外食時はシャリに含まれる塩分を調整することは難しいため、寿司につける醤油はネタに少量垂らす程度にするなど、塩分量を抑える工夫が必要です。
寿司を食べるときは、前後の食事でカリウムやリンの多い生野菜や果物を控える、塩分をカットするなど、1日のトータルでバランスをとる意識を持つようにしましょう。
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