透析患者でも稼げる仕事・副業まとめ

透析治療を受けながら働くことは、体調面や通院時間、職場の理解など、さまざまなハードルがあります。これまで続けていた仕事が難しくなり、転職や再就職を検討している方もいらっしゃるかもしれません。

透析患者が仕事と透析を両立できる仕事選びのポイントや実際に就いている仕事、透析患者でも稼げる仕事について詳しくご紹介します。就職・復職に役立つ支援制度やサービスも紹介しているので、体調やライフスタイルに合わせた働き方を見つけるヒントになれば嬉しいです。

血液透析を受けながら働くには、体調管理や通院との両立といった多くのハードルがあります。実際に透析患者さんの多くが、勤務時間の調整や職場への気兼ね、疲労の蓄積など、さまざまな課題を抱えていることが文献報告からも示されています。1）

透析と仕事を両立させるために押さえておきたい仕事選びのポイントを5つ挙げました。体調や生活に合った働き方を見つけていきましょう。

透析は週2～3回、1回あたり4～5時間を要し、通院にかかる時間も含めて時間的な拘束があります。そのため、フレックスタイム制や時短勤務、在宅勤務など、勤務時間の調整を行いやすい職場が望まれます。

体調や透析後の疲労感を考えると、無理のない通勤距離・手段であることが重要です。また、職場から透析施設への移動時間が短いと、通院負担の軽減にもつながります。

透析による疲労感は大きく、シャントに負担がかかる動作は避ける必要があるため、重い荷物を扱う仕事や長時間の立ち仕事などの重労働は配置換えなどが必要でしょう。また、突発的な対応や進捗・社員管理などが求められる管理職は体調面や時間的な面から両立が難しいため、精神的にも負担の少ない業務内容が体調と両立しやすいでしょう。

透析施設に相談すべきポイントを以下に挙げます。

透析中は体調が不安定になりやすく、ストレスが大きいとさらに体調を崩しやすくなります。通院や体調の変化に理解のある職場かどうかは、透析治療と両立しながら働き続けるための大切なポイントです。無理なく相談できる環境があることで、心身の負担も軽減されます。

透析患者さんにとっては体調面を管理しやすい環境であることも大切なポイントです。温度・湿度の調整ができる職場環境であることや、必要に応じて休憩できるスペースがあるなど、ハード面の環境が整っているかどうかも確認しておきましょう。

・1）独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の就労支援機構 障害者雇用事例リファレンスサービス

実際に透析患者さんが就いている仕事は次の職種です。

出典：日本透析医学会「2021年度血液透析患者実態調査報告書」

・日本透析医学会「2021年度血液透析患者実態調査報告書」

また、透析患者でも稼げる仕事・副業としては、体調に合わせて自宅で無理なく取り組める在宅ワークが選択肢として挙げられるでしょう。企業が在宅ワークとして発注する仕事として次の内容が挙げられています。（出典：厚生労働省　在宅ワーカーのためのハンドブック）

• Webサイト作成
• Webデザイン、グラフィック
• 設計、製図（CADなど）
• データ入力
• Webサイト上の情報更新等の業務
• システム設計・開発、プログラミング
• 文章入力
• メールマガジン・広告メールの作成
• Webコンテンツ制作
• 調査、マーケティング
• ネットショップのシステム運営・管理（ネットショップ運営を請け負う業務）
• DTP（編集）
• 映像制作・編集、フォトグラフィング
• 翻訳
• など

なかには、専門的なスキルや経験が求められる業務も含まれています。そのため、未経験から始める場合は、スキルに応じて取り組みやすい業務から選ぶことが大切です。最近では在宅ワーク向けのオンライン講座や支援制度も増えてきているので、学びながら少しずつ仕事の幅を広げていくことも可能です。体調や生活リズムを尊重しつつ、無理なく継続できる働き方を見つけていきましょう。

・日本透析医学会「2021年度血液透析患者実態調査報告書」
・厚生労働省　在宅ワーカーのためのハンドブック

透析患者さんの就職や復職に役立つ支援制度やサービスとして、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなどの相談窓口やサービスなどがあります。

就職希望の方の就職登録を行い、就職相談や就職紹介を行う機関です。

障害者の方の就業と生活の一体的な支援をする公的な機関です。就職に向けた準備や職務の選定、就職活動や安定して働くための支援、健康管理や生活習慣などの自己管理の支援や地域生活・将来の生活設計の支援などを行います。

障害のある方に対して、就職を希望する段階から職場で安定して働き続けるまでの過程を支援する機関です。ハローワークと連携しながら、職業相談や評価、職業指導などの就労に向けた支援から就職後の相談・援助まで行います。

再就職、転職、スキルアップをめざす方が月10万円の給付を受けながら、職業訓練を無料で受講できる制度です。一定の条件を満たす離職者、在職者が対象となり、受講できる分野はパソコンやIT、医療事務、介護福祉、デザインなど多様な訓練があります。

透析患者さんが、障害者雇用促進法に基づく企業の雇用枠を活用して就職する場合、体調管理や通院の配慮を受けながら働くことが可能です。週に複数回の透析治療が必要な方でも、勤務時間や業務内容について企業側と相談しやすい環境が整えられていることが多く、就労と透析治療の両立を目指しやすくなります。

障害があり、一般就労が難しい場合に就職に必要な知識やスキルを身につけて就職を支援する就労移行支援や雇用契約における就労の機会を提供しながら一般就労への移行を支援する就労支援継続A型があります。

・厚生労働省　就労継続支援Ａ型の状況について
・厚生労働省 障害者の方への施策
・独立行政法人　高齢・障害・求職者雇用支援機構（JEED）
・厚生労働省　障害者就業・生活支援センターについて
・厚生労働省　求職者支援制度のご案内
・厚生労働省　障害者雇用促進法

透析治療をしながら仕事するには勤務時間の柔軟性や身体的負担、職場の理解などを重視することが重要です。在宅ワークなど、自宅で無理なく続けられる仕事も選択肢として有効です。さらに、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センター、求職者支援制度といった公的支援を活用することで、再就職や転職をめざし、無理なく働き続けられる選択肢も増やせます。無理のない働き方を選ぶことが、透析治療との両立には重要です。