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2022年05月25日

透析患者の禁忌薬一覧。市販の薬は飲んでも大丈夫?

禁忌薬とはどのような薬なのかを知り、どのような薬が透析患者にとって禁忌薬であるかを確認しておきましょう。透析患者は被市販薬を飲んでも良いのか?気を付けたい薬や成分にはどのようなものがあるか?についても触れているので、薬を選ぶときの参考にしてみてください。

禁忌薬とは

禁忌薬とは、「使用してはいけない薬剤」です。その薬剤を使用することにより、病状の悪化や副作用が強く現れる、薬の作用が弱まるなどの可能性が高くなるとされています。

現在かかっている病気や合併症、既往歴、家族歴、体質、飲んでいる薬などに対して禁忌薬が示されます。

併用禁忌薬というのは、ある特定の薬と一緒に飲むことによって薬の作用が弱まったり、副作用が強く現れたりするため、一緒に使用してはいけない薬です。

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・Pmda 医療用医薬品の添付文書情報【禁忌】
・日本薬剤師会 併用禁忌の薬剤の投与について
・添付文書記載要領の改正に伴う原則禁忌の取扱いについて

透析患者の禁忌薬一覧

一般社団法人日本腎臓病薬物療法学会が示す、透析患者に禁忌とされている薬は80以上あります。その中から禁忌理由ごとに、いくつかピックアップして一覧で表にしています。
詳しくは以下のURLを参考にしてください。

参照URL:・「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧(2021年9月7日改訂(34.1版))(一般社団法人日本腎臓病薬物療法学会)」

禁忌とされている薬

薬の血中濃度が上昇するリスクがある

分類 一般名 商品名
5-HT1B/1D受容体作動型片頭痛治療薬 リザトリプタン安息香酸塩 マクサルト錠/RPD錠
非定型抗精神病薬 パリペリドン インヴェガ錠
パリペリドンパルミチン酸エステル ゼプリオン水懸筋注シリンジ ゼプリオンTRI 水懸筋注シリンジ
抗うつ薬(SNRI) ベンラファキシン塩酸塩 イフェクサーSR カプセル
デュロキセチン塩酸塩 サインバルタカプセル
肺高血圧症治療薬 タダラフィル アドシルカ錠
抗不整脈薬Ⅰa群 ジソピラミドリン酸塩 リスモダンR錠
抗不整脈薬Ⅲ群 ソタロール塩酸塩 ソタコール錠
第2世代抗ヒスタミン薬 レボセチリジン ザイザル錠・OD錠・シロップ
ビグアナイド系 メトホルミン塩酸塩 グリコラン錠 メトグルコ錠
ビグアナイド系薬配合剤 メトホルミン塩酸塩配合剤 メタクト配合錠LD・HD
メトアナ配合錠LD・HD
イニシンク配合錠
エクメット配合錠LD・HD
抗パーキンソン病薬 アマンタジン塩酸塩 シンメトレル錠・細粒

腎障害を悪化させるおそれや腎不全を起こすリスクがある

分類 一般名 商品名
抗リウマチ薬(DMARDs) オーラノフィン オーラノフィン錠
経口腸管洗浄薬 リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム配合 ビジクリア配合錠
ビスホスホネート製剤 ゾレドロン酸水和物 リクラスト点滴静注液
血漿増量・体外循環灌流液 ヒドロキシエチルデンプン70000 サリンヘス輸液/ヘスパンダー輸液
白金製剤 ネダプラチン アクプラ静注用
MRI用造影剤 ガドジアミド水和物 ガドテリドール など オムニスキャン静注シリンジプロハンス静注・シリンジ など

副作用が強く現れるリスクがある

分類 一般名 商品名
抗リウマチ薬(JAK阻害薬) バリシチニブ オルミエント錠
抗パーキンソン病薬 プラミペキソール塩酸塩水和物 ミラペックスLA錠
抗不整脈薬Ia群 シベンゾリンコハク酸塩 シベノール静注シベノール錠
抗不整脈薬Ⅲ群 ソタロール塩酸塩 ソタコール錠
代謝拮抗薬 (プリン代謝拮抗薬) フルダラビンリン酸エステル フルダラ静注用
フルダラ錠

低血糖を起こすリスクがある

分類 一般名 商品名
チアゾリジン系薬・DPP4阻害薬配合剤 ピオグリタゾン塩酸塩・アログリプチン安息香酸塩配合 リオベル配合錠LD・HD
抗不整脈薬Ⅰa群 シベンゾリンコハク酸塩 シベノール静注シベノール錠
ビグアナイド系 ブホルミン塩酸塩 ジベトス錠/ジベトンS腸溶錠
スルホニル尿素(SU) 薬 アセトヘキサミド
グリベンクラミド
グリメピリド
クロルプロパミド
ジメリン錠
オイグルコン錠/ダオニール錠
アマリール錠・OD錠
クロルプロパミド錠
速効型インスリン分泌促進薬 ナテグリニド ターシス錠/ファスティック錠

出血を起こすリスクがある

分類 一般名 商品名
ヘパリン製剤 エノキサパリンナトリウム クレキサン皮下注キット
ヘパリノイド ダナパロイドナトリウム オルガラン静注
合成Xa阻害薬 フォンダパリヌクスナトリウム アリクストラ皮下注
Xa阻害薬 エドキサバントシル酸塩水和物 リクシアナ錠・OD錠
抗トロンビン薬 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 プラザキサカプセル

そのほかの禁忌薬

分類 一般名(商品名) 禁忌理由
抗リウマチ薬(DMARDs) メトトレキサート(リウマトレックスカプセル) メトトレキサートによる骨髄障害は致死的となることが度々ある
気分安定薬 炭酸リチウム(リーマス錠) リチウムが体内にたまりやすい
抗腫瘍性抗生物質 ブレオマイシン塩酸塩(ブレオ注射用)
ペプロマイシン硫酸塩(ペプレオ注射用)
排泄機能が低下して、重篤な肺症状がみられやすい

出典:「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧(2021年9月7日改訂(34.1版))(一般社団法人日本腎臓病薬物療法学会)」より一部引用

参照URL:・関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン2016年改訂版【簡易版】PDF 8P 9副作用への対応

市販薬は服用しても大丈夫?

腎臓の機能が低下している透析患者では、被副作用が強く出る薬や腎障害が起こる薬があるため注意が必要です。

胃腸薬や便秘薬にはアルミニウム、マグネシウムが含まれています。マグネシウムがたまると、高マグネシウム血症となり、不整脈、意識障害、心停止などのリスクが高くなります。アルミニウムが体の中にたまると、アルミニウム脳症による言語障害、異常行動、精神障害や、骨軟化症によって骨がもろくなり、骨折しやすくなることがあります。

発熱や頭痛で用いられる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のアスピリンやロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、イブプロフェン(ブルフェン)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、インドメタシン(インダシン)などは、腎障害の悪化や消化管出血などの胃腸障害をもたらす場合があります。NSAIDは総合風邪薬にも含まれている薬です。

市販の漢方薬にも麻黄や甘草、附子などの透析患者が気を付けたい成分が含まれています。甘草は咳止めシロップにも入っています。被腎臓の状態や合併症などによって気を付けたい成分は変わってくるので使用しても良い市販薬について、主治医に相談するとよいでしょう。

・NPO法人 腎臓サポート協会 腎臓病の薬と注意点 特徴や副作用をきちんと知ろう
・KISSEI 教えて!透析Q&A
・厚生労働省 酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について
・ツムラ 透析療法と漢方医学

まとめ

禁忌薬とは使用してはいけない薬です。腎機能が著しく低下している透析患者では、腎臓に到達して排出される薬は血中濃度が高くなるので禁忌となります。

他にも、使うと腎障害が悪化する薬や副作用が強く出る薬、出血のリスクがある薬もあります。被市販薬では解熱鎮痛剤に広く用いられているNSAIDやアルミニウムやマグネシウムが含まれる胃腸薬、便秘薬も注意しなければなりません。

腎臓の状態や合併症の状態などによっても、飲んでも良い薬、気を付けなければならない薬、飲んではいけない薬は変わるので、飲む前に一度主治医に確認しましょう。

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