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2021年11月18日

急性腎不全とは?慢性腎不全との違いや治療法について

急性腎不全は短期間で腎臓の機能低下が起こります。腎臓の機能が低下する原因は大きく分けて腎前性、腎性、腎後性の3つがあり、原因によって治療方法や経過も異なります。急性腎不全の原因別の治療方法や経過について、また、透析治療が必要となる場合はどのようなときかについて知っておきましょう。

腎不全とは

腎臓の機能が低下した状態が腎不全です。腎不全になると、体の中の老廃物を尿から排泄できなくなり、尿毒症や心不全、高カリウム血症、貧血、高血圧、骨がもろくなるなどの様々な症状がみられるようになります。

腎不全には急激に腎機能の低下が起こる「急性腎不全」とゆっくりと腎臓の機能が低下していく「慢性腎不全」があります。

・一般社団法人 日本腎臓学会 腎臓の病気について調べる 4.急性腎障害と慢性腎臓病
・全腎協 腎臓病とは
・国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 腎不全

腎不全

急性腎不全と慢性腎不全

急性腎不全は数時間から数日という短い期間に急激に腎臓の機能が悪くなる状態です。尿が少なくなる乏尿や、尿が全くでなくなる無尿がみられることが多いですが、尿の症状がみられない場合もあります。そのほかの症状は、体のむくみ、全身の倦怠感、吐き気、食欲の低下、息切れなどです。

急性腎不全は、原因別に全身の病気によって腎臓への血液の流れが悪くなって起こる「腎前性腎不全」、腎臓の病気による「腎性腎不全」、尿管や膀胱、尿道の閉塞や腫瘍によって起こる「腎後性腎不全」に分けられます。

原因に応じた適切な治療により、腎臓の機能の回復が見込める場合もありますが、合併症の発症や、腎臓の機能が低下して慢性腎不全に移行することもあり、原因や合併症によって経過は異なります。

慢性腎不全は腎臓の障害や腎臓の機能低下が3か月以上継続している状態です。数カ月から数十年の長い期間をかけてゆっくりと腎臓の機能が悪くなります。慢性腎不全では腎臓の低下した機能の回復は見込めず、低下した腎臓の機能をできるだけ維持し、合併症を予防するための治療を行います。

慢性腎不全と糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病とは関連が深く、腎臓の機能を維持するためには生活習慣の改善も大切です。

治療は水分や塩分、たんぱく質やリン・カリウムの制限などの食事療法、血圧コントロールや症状に応じた薬物療法などを行います。腎臓の機能が著しく低下した末期腎不全まで進行すると、腎臓の機能を補う人工透析や腎臓移植といった治療が必要になります。

・東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 慢性腎臓病
・東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 急性腎障害
・順天堂大学医学部付属順天堂医院 腎・高血圧内科

急性腎不全の治療と治療薬について

急性腎不全の治療は、腎臓の機能を低下させている原因を取り除く治療が基本です。また、腎臓への負担を軽減し、合併症を予防するために食事療法や薬物療法を並行して実施します。腎臓の機能低下が重度の場合は血液浄化療法(人工透析)を行います。

食事療法は、塩分やたんぱく質、カリウム、リン、水分を制限し、エネルギーを十分にとる食事を心がけます。制限の詳しい内容は急性腎不全の経過によって異なるため、医師や管理栄養士の指導に従って行います。

薬物療法では、血圧を下げる降圧薬や体の中にたまった水分を排出する利尿薬を使用しますが、急性腎不全の原因別の治療と使用される治療薬についてみていきましょう。

腎前性腎不全の治療

腎臓への血液量が減って起こる腎前性腎不全では、点滴や輸血を行って血液の流れを良くし、心不全がみられる場合は心臓から送り出す血液量を増やす昇圧剤を使用します。

腎性腎不全の治療

急速進行性糸球体腎炎や間質性腎炎といった病気で起こる急性腎不全ではステロイドを使用します。薬剤が原因の場合はその薬剤の使用を中止します。

腎後性腎不全の治療

尿路が塞がっている原因となる前立腺肥大や前立腺がん、膀胱腫瘍に対する治療やカテーテルの挿入、腎瘻増設を行い、尿の流れを確保します。

・Doctors file急性腎障害(急性腎不全)
・全腎協 治療法について 急性腎不全
・済生会 急性腎不全
・順天堂大学医学部付属順天堂医院 腎・高血圧内科 急性腎障害

急性腎不全が治る確率

急性腎不全の経過は急性腎不全が起こった原因や患者さんの年齢、既往歴などによって異なります。

急性腎不全で適切な治療によって命が助かった患者さんのうち、腎臓の機能が回復するのは約30%です。約60%は徐々に腎臓の機能が低下して慢性腎不全へと移行し、残りの約10%の患者さんは腎臓の機能が失われ、透析治療や腎移植が必要となります。

・順天堂大学医学部付属順天堂医院 腎・高血圧内科 急性腎障害

急性腎不全=透析治療?

急性腎不全になったら必ずしも透析治療が必要となるわけではありません。腎臓の機能低下が著しい場合に一時的に透析治療を行う場合があります。治療を行っても腎臓の機能が回復せず、末期腎不全となった場合に透析治療が開始されます。

・済生会 急性腎不全

腎不全

まとめ

慢性腎不全が数カ月から数十年かけて腎臓の機能が低下するのに対し、急性腎不全は数時間から数日のうちに腎臓の機能が低下する状態です。

急性腎不全は原因によって腎前性、腎性、腎後性の3つに分けられ、異なる治療法や経過をたどります。治療は、原因に対する治療を中心に、食事療法、薬物療法を行います。腎臓の機能低下が著しい場合や末期腎不全へと移行した場合は人工透析が必要です。

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