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2019年01月30日

透析中によくある低血圧。その時のために知っておきたい原因と対策

透析治療を受けている最中、血圧が下がることがあります。透析時の低血圧は、決して珍しいことではありませんが、その原因や現れる症状は様々です。

場合によっては、危険な状態に陥ってしまうこともあります。透析中に起こる低血圧の原因や対策について、詳しく知っておくことでリスクを軽減しましょう。

     

透析中におこる低血圧のパターンと症状

血圧低下2つのパターン

透析中に起こる血圧の低下には、大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは少しずつ血圧が下がっていくもので、こちらは珍しいことではありません。血液透析では、上手く排出できず体内に溜まってしまった水分を除去します。そのため、時間が経つごとに血圧が下がっていくのは当然ともいえます。その変化に体がついていけないと、低血圧の症状が出てしまいます。

その他にも様々な原因で、緩やかな血圧の低下が起こります。対処するためにはまず、原因を突き止めるところから始めなければいけません。原因が特定できないと、透析治療を続けられなくなってしまうこともあります。

もう1つは、安定していた血圧が突然低下してしまうパターン。血圧の低下と同時に、嘔吐や意識障害も起こります。昔は酢酸透析液を使っていたため、よく見られた症状でした。しかし、現在は透析液の安全性も上がったため、ほとんど起こらなくなっています。

     

低血圧になると起こる具体的な症状

透析治療中に低血圧が起こると、様々な自覚症状が現れてきます。人によって起こる症状は違い、まさに千差万別といっていいでしょう。

主な症状としては、あくび・吐き気・嘔吐・頭痛・動悸・目まい・息切れ・耳鳴り・冷や汗・こむら返り・全身の倦怠感があります。

中には、「体が熱くなる」「お腹が痛くなる」「トイレに行きたくなる」といった症状を訴える患者もいます。

急激な低血圧が起こると、顔面が蒼白になり意識障害が起こることもあります。これは低血圧によるショック症状で、すぐに対処しないと生命に関わる事態になってしまいます。

もし透析治療中に体調の変化を感じたら、すぐに医師に声をかけましょう。少しの変化でも見逃さないことが、早めの対処に繋がります。

脱血不良への対応

透析治療中に低血圧になる原因

ドライウェイトのチェックしてますか?

透析中に低血圧が起こる原因の中で代表的なものに「ドライウェイトの設定」があります。

以前は問題なく透析治療ができていたのに頻繁に低血圧を起こすようになったときは、まずこれが疑われます。

透析治療では、体内に溜まった余分な水分を除去します。その際にどのくらいまで除去すればいいのかの目標となるのがドライウェイト(透析時基本体重)です。ドライウェイトは、一度決めたらずっと変わらないものではありません。体の状態によって変化していきます。

筋肉や脂肪の量が次第に増えているのに、ずっと同じドライウェイトのまま透析治療をしていたとしましょう。すると、必要以上に水分を取り去ってしまうことになり、脱水症状になって低血圧が起こるのです。

ドライウェイトの設定が低すぎることが原因なら、適正なドライウェイトはどのくらいなのか調べ直さなければいけません。体重や体調などに変化があった場合は、医師に相談してドライウェイトを調べ直してもらうようにしましょう。

     

心機能の衰えが原因で低血圧になることも

透析患者は腎臓の機能が衰えているため、体内の水分をうまく排出できません。体内の水分が増えると血液量も多くなります。そのため、透析患者は心臓に負担がかかりやすいのです。

また、透析患者の中には腎性貧血を発症している人も多く見られます。貧血が重症化すると、心臓はより多くの血液を送りだそうとするので、やはり負担がかかってしまいます。

こういった状態が経長く続くと、心臓の機能は次第に衰えていきます。

透析治療では、体内に溜まった不要な水分を一気に取り除きます。すると血液量も少なくなりますが、心臓の機能が衰えているとその変化に対応できません。その結果、低血圧になってしまうのです。

心機能の衰えから低血圧が起こる場合は、「時間をかけて透析する」「取り除く水分量を減らす」といった対応が考えられます。心臓への負担をなるべく減らすよう、水分の摂取制限を守るといった日常生活での注意も必要です。

     

透析による低血圧

糖尿病の合併症も低血圧の原因に

糖尿病から人工透析を受けることになった患者は、動脈硬化を起こしていることも多いと思います。動脈硬化が原因で、透析治療の時に低血圧を起こすことがあるのです。

透析治療で血液の量が減ってくると、全身の血管は収縮して血圧を保とうとします。ところが動脈硬化を起こしていると、血管がうまく収縮できません。その結果、低血圧となってしまうのです。

また、糖尿病の合併症で自律神経障害となっていると、血管を広げたり縮めたりというコントロールがうまくできません。するとやはり透析治療時に低血圧を起こすリスクが高くなります。

糖尿病の合併症が原因の低血圧は、なによりも糖尿病自体の治療が大切。血糖値を安定させて、合併症がこれ以上悪化することがないようにしたいものです。

     

その他の原因

透析時に低血圧を起こす原因は、これまで挙げたものだけではありません。高血圧で降圧剤を服用している場合は、低血圧を起こす確率が高くなります。透析中に体位を変えたことで、心臓に血液が十分に回らなくなり低血圧を起こすこともあります。

時には透析液が原因で起こることも。例えば、透析液の温度が高めだと血管の収縮性が落ちるため低血圧になりがちです。透析液にごく少量含まれている酢酸がうまく代謝できずに、低血圧となってしまうこともあります。

透析中に起こる低血圧のほとんどは、生理食塩水を投与することで治まります。ただ、低血圧の原因によって対応も変わるので、まずは原因を突き止めることが大切なのです。

     

低血圧を起こさないよう、患者ができる対策は?

透析時に取り除く水分が少なければ、血圧の低下は抑えられます。そのためには、普段の生活から気をつけることが大切です。

塩分と水分の摂取をなるべく控えて、透析と透析の間に体重が増えすぎないよう注意しましょう。増加の目安としては、ドライウェイトの3~5%以内が望ましいとされています。

     

透析治療時に気をつけたいこと

透析の直前や治療中に、食事をとる習慣がある人もいるでしょう。食事をすると、消化を促すため副交感神経の働きが活発になります。すると血管が拡張されて、血圧が低下してしまいます。食事をとるなら、透析治療の後にしましょう。

また、透析治療中に眠ってしまうと、副交感神経が働くようになります。低血圧になりやすい人は、透析治療中に眠らないようにしたほうがいいでしょう。

かといって、透析治療中に動くのも考えものです。体位を変えたり起き上がったりすることで、血圧の低下を招くこともあります。

体調が優れないときに透析治療を受けると、低血圧になってしまうことがあります。普段から体調管理をしっかりして、なるべく体調を崩さないよう気をつけたいものです。

     

まとめ

透析治療中に低血圧を引き起こす原因には、様々なものがあります。場合によってはいくつもの要因が重なって、低血圧になってしまうこともあります。透析中に体調の変化を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。

低血圧のリスクを軽減するには、日常生活から節制することが大切です。普段から気をつけることで、透析治療とうまくつきあっていきたいものです。

 

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