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2022年02月15日

腎不全患者の余命はどのくらい?透析しないとどうなる?

透析治療をしなかった場合の腎不全患者の平均余命をデータで確認し、末期腎不全に至るまでの腎不全の進み方と、腎不全のステージによる治療法を知っておきましょう。

腎不全と告知された患者の余命について

腎不全

腎臓の機能が低下した状態=腎不全となると、自然な回復は見込めず、腎臓の機能は少しずつ低下していきます。やがて末期腎不全になると、ほとんど腎臓は機能しなくなり、腎臓の機能を補う腎代替療法が必要となります。

腎臓の機能が極度に低下し、透析治療が必要な末期腎不全の時期に透析治療を行わなかった患者の平均余命は、海外の報告によると1.95年とあります。1)

また、他の海外の文研調査のデータでは高齢者の末期腎不全患者で透析治療を選択しなかった患者の平均余命は約6か月~約23か月と報告されています。2)個人や年齢によって平均余命の差はあるものの、平均余命は2年以内と読み取れます。

日本の45歳~64歳の透析患者における平均余命は12.2年(2004年度末)です。透析患者の平均余命は高齢になるほど短くなりますが、65歳で男性7.86年、女性9.04年、75歳で男性4.77年、女性5.67年、90歳で男性2.33年、女性2.57年3)であり、海外の透析治療をしなかった末期腎不全患者の平均余命と比べると、透析患者の方が平均余命が長いことがわかります。

・1)CF Wong, M McCarthy, MLP Howse, PS Williams:Factors affecting survival in advanced chronic kidney disease patients who choose not to receive dialysis. Ren Fail 2929(6):653-9.2007
・2)Rachel C. Carson, Maciej Juszczak, Andrew Davenport and Aine Burns: Is Maximum Conservative Management an Equivalent Treatment Option to Dialysis for Elderly Patients with Significant Comorbid Disease?. CJASN 4 (10) 1611-1619. October 20097
・3)日本透析医学会 2004年末調査項目に関する予後解析 表1 2003年 (平成15年) 男性 透析患者 平均余命(生命表)

急性腎不全と慢性腎不全

腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。

急性腎不全は数時間~数日間という短い期間に急激に腎臓の機能が悪くなり、主な原因は脱水やショック、手術、薬物、急速進行性糸球体腎炎、急性間質性腎炎などです。早期に適切な治療を行うことによって回復が望めます。

一方、慢性腎不全は数カ月から数十年という期間をかけてゆっくりと腎臓の機能が悪くなります。原因は糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎、腎硬化症などで、症状は徐々に進行していき、今よりも悪くならないように維持することが治療の目標となります。

・菱田明 急性腎不全 日本腎臓学会誌44(2):94-101.2002
・全腎協 腎臓病とは

腎不全のステージと治療法

腎不全の重症度は、腎臓の機能を表すGFRの数値をG1~G5の6段階に分けたステージと、腎不全の原因となった病気、たんぱく尿の程度を合わせて分類されます。

腎不全

・出典:日本腎臓学会 CKD診療ガイド16P 表2 CKDの重症度分類 2012
・全腎協 腎臓病とは

GFRは1分間に腎臓の糸球体でろ過される血液量で、90ml/分/1.73㎡以上が正常です。GFRの値が低くなるほど腎臓の機能が低下していることを表します。

それぞれのステージでは次のような治療を行います。

腎不全

・出典:CKD診療ガイド2012 CKD診療ガイド―治療のまとめ [PDF 163KB] より作成

ステージG1、G2

たんぱく尿がみられるときは腎障害に対する治療や塩分の制限などの食事療法、運動療法、体重コントロール、禁煙といった生活習慣の改善、高血圧などに対しての薬物療法を行います。

ステージG3

腎機能低下の原因に対する治療や生活習慣の改善、塩分とたんぱく質、リン、カリウムの制限などの食事療法、高血圧や腎性貧血、電解質バランスの調節や尿毒症などに対する薬物療法を行います。

ステージG4

原則専門医による治療を行います。G3の治療に加え、腎不全合併症の治療や透析治療などの腎代替療法の準備も始めます。

ステージG5

専門医による治療を行い、透析治療や腎臓移植などの腎代替療法が必要となります。G4の治療は継続し、現状維持を図ります。

腎不全末期でも透析治療があります

透析治療

ある程度以上腎臓の働きが悪くなると、保存期腎不全と呼ばれます。保存期腎不全の明確な定義はありませんが、おもにCKDステージG3以降から腎代替療法を開始するまでの時期をさします。

G5はGFRが15 ml/分/1.73㎡以下となり、ほとんど腎臓が働いていない末期腎不全の状態です。ある程度、腎臓の機能が残存している状態であれば、薬物療法や食事療法、生活習慣の改善などの治療で機能を維持できますが、末期腎不全になるとそれらの治療で腎臓の機能を補うことはできません。

そればかりか、身体に水分や塩分、老廃物がたまって食欲低下や倦怠感、吐き気などの症状が出ます。さらには呼吸困難、心不全、意識障害などをきたして命に危険が及びます。

しかし、腎臓の働きを補う透析治療や腎臓移植などの腎代替療法という治療の選択があります。透析治療は身体にたまる塩分や水分、老廃物を取り除くことで症状を軽減し、自分らしい生活を継続するための治療です。

G4ステージで透析治療がそろそろ必要だと医師から告げられたら、透析治療の導入について考え、不安や気になることは主治医や医療スタッフに相談しておきましょう。

・東京都立小児総合医療センター 腎臓・リウマチ膠原病科 保存期腎不全 Advanced Chronic Kidney Disease(Advanced CKD)
・亀島佐保子ほか 保存期腎不全のミネラル代謝異常 日本腎臓学会誌60(2):106-112.2018 2P
・腎代替療法洗濯ガイド2020 PDF17-19p

まとめ

腎不全の状態になると、薬物療法や食事療法では腎臓の機能は回復せず、徐々に腎臓は悪くなっていきます。やがて、ほとんど腎臓が働かない末期腎不全になると、腎臓の働きを補う透析治療などの腎代替療法が必要です。

透析治療を行わなければ、心不全や肺水腫、不整脈、意識障害などで命を失うこともあります。腎不全患者の余命を延ばし、自分らしく生活するための治療として透析治療は行われています。

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