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2023年07月13日

透析患者と二次性副甲状腺機能亢進症について

透析患者さんが気をつけたい「二次性副甲状腺機能亢進症」という合併症を聞いたことはありますか?二次性副甲状腺機能亢進症の概要や透析患者さんがなぜなりやすいのかということも具体的に説明しています。予防対策方法も説明しているので生活を送る上での参考になれば幸いです。

医者の説明

二次性副甲状腺機能亢進症とは

二次性副甲状腺機能亢進症は、透析患者さんの合併症としてよくみられる病態のひとつです。腎臓機能の低下により、血液中のカルシウムやリンのバランスが崩れると、副甲状腺が適切なバランスに戻そうとして過剰に副甲状腺ホルモン(PTH)を作り出します。

副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に出ると、骨からカルシウムやリンが大量に溶け出して、血液中のカルシウムやリンの濃度が高くなり、血管の石灰化などを起こします。

はじめの頃は、自覚症状はありませんが、進行すると骨の密度が低下して線維性骨炎となり、骨折しやすくなる、関節や骨が痛むなどの症状がみられます。石灰化が皮膚の下層に起こると体のかゆみの症状がみられ、血管に起こると心筋梗塞などを起こしやすくなります。

・協和キリン株式会社 CKD-N道場

骨密度が低下

透析患者がなりやすい理由

透析患者さんがなりやすいのは次の理由からです。

腎臓の機能低下によってリンを尿として排泄にしにくくなるため、血液中のリンの濃度が高くなります。透析治療によって体内のリンを体外へと排出できますが、十分な量は排出できません。そのため、体内にリンが残って高リン血症を起こしやすくなります。

また、腸管からカルシウムを吸着する活性型ビタミンDが腎臓でつくられなくなるので、血液中のカルシウムの濃度が不足します。これにより、低カルシウム血症になりやすくなります。

血液中のリンが増えてカルシウムが減り、血液中のカルシウムとリンのバランスが崩れることで、バランスを立て直そうとした副甲状腺が過剰に刺激される結果、副甲状腺機能亢進症となるのです。

・協和キリン株式会社 CKD-N道場

二次性副甲状腺機能亢進症は食事療法が大切です

食事療法

二次性副甲状腺機能亢進症の予防には、食事においてリンとカルシウムの摂取をコントロールすることが大切です。

リンの制限

体内にリンが多く残らないようにするためには、食事に含まれるリンの量を制限する必要があります。食品に含まれるリンは、水にさらしたり、茹でこぼしたりしても、ほとんど減らすことはできません。

リンを多く含む食品としては、次の食品が挙げられます。

  • 肉類・魚介類・豆類・卵などのタンパク質
  • ハム・かまぼこなどの加工食品
  • 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品

カルシウムの摂取

体内のカルシウムが減りやすい透析患者は、適切なカルシウム量を摂取することも大切です。カルシウムが乳製品や魚介類に多く含まれますが、これらの食品にはリンも多く含まれます。

リンとカルシウムのバランスを考えた食品の選択や量の調節、低リン食品の活用などの工夫を取り入れることも大切です。

透析治療も大事

透析によって体内の余分なリンやカルシウムが除去されるため、十分に時間をかけて透析治療を行うことで、二次性副甲状腺機能亢進症の予防管理に重要な役割を果たします。

・小岩文彦ほか 二次性副甲状腺機能亢進症に対する内科的管理 内分泌甲状腺外会誌34(3):176-181.2017

まとめ

食事療法は透析患者一人ひとりの状態に合わせた管理が必要です。医師や栄養士と相談の上、適切な食事プランを作成しましょう。食事療法と透析治療はお互いに補完的な役割を果たします。薬物療法も組み合わせて管理していく場合もありますので、主治医の指導のもとに、食事療法、透析治療、薬物療法をそれぞれ継続することが大事です。

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