透析で腕がボコボコ…これって大丈夫?放置していいケースと注意点
透析治療を長く続けていると、シャントを作っている腕がボコボコと盛り上がってくることがあります。「見た目が気になる」という外見上の悩みだけでなく、「このまま放っておいて大丈夫なのか」と不安を感じる方も多いでしょう。
このボコボコの正体は多くの場合、シャント瘤(りゅう)です。すべての瘤がすぐに危険なわけではありません。しかし、中には放置すると重篤な出血につながる可能性があります。
今回は、安心して透析を続けるために知っておきたい腕のボコボコについて詳しく解説します。
透析で腕がボコボコになる主な原因
透析で腕がボコボコになる場合、いくつかの原因が考えられます。まず、シャントにかかる血流の影響で血管そのものが変化し、凹凸して見える場合です。
透析では動脈と静脈をつなぐ内シャントを作ります。動脈の強い血流が静脈へ流れることで、血管は太くなって蛇行し、皮膚の上に盛り上がって見えるようになります。これは十分な血液量を確保するための反応で、多くの場合は生理的な血管の変化です。
しかし、この変化が続くと血管の一部に負担が集中し、局所的にこぶのような膨らみが生じることがあります。これはシャント瘤と呼ばれ、狭窄や閉塞、感染などとともにシャントに起こる合併症の一つです。
繰り返し同じ場所へ穿刺することで血管壁が弱くなり、こぶ状の膨らみが形成されます。
・日本透析医学会 2011年版 社団法人 日本透析医学会「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」透析会誌:2011;44(9)855-937
ボコボコした腕は危険?受診が必要なサイン
ボコボコした腕は、そのまま様子を見ていてもよいのでしょうか。「ボコボコしているけれど、痛みはないし大丈夫だろう」と自己判断するのは禁物です。次の変化がある場合は注意が必要とされています。透析日を待たずに主治医に連絡しましょう。
皮膚がテカテカ光っている
ボコボコした部分の皮膚が薄くなり、テカテカと光って見える場合は要注意です。これは血管が皮膚のすぐ下まで迫っており、破裂の危険性が高まっているサインとされています。
皮膚が熱をもって赤くはれている
瘤の周辺が赤く腫れたり、熱を持っていたり、痛みを感じる場合は、感染症の疑いがあります。透析患者では感染症のリスクが高くなるため、放置すると敗血症などの全身感染につながる可能性があります。
拍動(スリル)の変化
シャントに触れたときに感じる「ザーザー」「ドクドク」という振動(スリル)が弱くなったり、反対に「キンキン」と高い音がしたりする場合は、内部で狭窄や閉塞が起きている可能性があります。
急激に大きくなった
短期間でボコボコが大きくなった場合は、内部で血栓ができたり、血管壁が著しく弱ってきたりしているサインの可能性があります。
・日本透析医学会 2011年版 社団法人 日本透析医学会「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」透析会誌:2011;44(9)855-937
腕のボコボコを悪化させないためにできること
一度できてしまった瘤を自然に治すことは難しいですが、悪化を防ぎ、長く付き合っていくためのセルフケアは重要です。
毎日「見て・触れて・聴く」
自分のシャントの状態を毎日チェックする習慣をつけましょう。
- 見て:赤みはないか、皮膚が薄くなっていないか。
- 触れて:いつも通りの振動(スリル)があるか。
- 聴く:耳を近づけ、シャント音に変化がないか確認しましょう。
シャント側の腕を圧迫しない
血管への負担を減らすため、以下の行為は避けましょう。
- シャント側の腕を下にして寝る
- 腕に重い荷物をかける
- 腕時計やきつい袖口の服で締め付ける
- シャント側での血圧測定
清潔を保つ
シャント瘤の部分は皮膚が弱くなっていることが多いため、傷がつくと感染の原因になります。常に清潔を保ち、乾燥が気になる場合は主治医に相談して適切な保湿を行いましょう。
穿刺位置を分散させる
透析時の針を刺す位置を毎回少しずつずらす穿刺方法について、医療スタッフと相談してください。特定の箇所への負担を軽減できます。
まとめ
透析を続ける中で、腕にシャント瘤がみられることがあります。多くの場合、すぐに命に関わるわけではありませんが、皮膚の変化や感染の兆候、痛み、スリル(振動)の変化がないか注意しましょう。違和感がある場合は、透析日を待たずに主治医に連絡しましょう。
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