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2025年11月20日

透析患者は辛い料理を食べていい?体への影響と安全な楽しみ方

透析を受けている方の中には、「辛いものが好きだけど、食べても大丈夫?」と感じている方も多いでしょう。唐辛子の刺激成分であるカプサイシンは食欲を刺激し、体を温める働きがありますが、一方で腎機能が低下している透析患者にとっては、辛い料理に含まれる塩分やカリウム、リンなどが体に負担をかけることもあります。

この記事では、透析患者が辛いものを食べるときの注意点や安全に楽しむための工夫を解説していますので、毎日の食事の参考になれば幸いです。

辛ラーメン

辛いものが透析患者に与える影響

辛いもの(カプサイシン)そのものよりも、辛い料理に含まれる塩分や添加物の過剰摂取が問題となる傾向があります。

栄養素や成分 注意すべき影響
塩分 摂りすぎると体内の水分が増え、むくみ・高血圧・心不全のリスクを高める可能性があります。
カリウム 唐辛子・野菜・果物などからの摂りすぎで高カリウム血症を起こし、不整脈などの原因になることがあります。
リン 加工食品・インスタント食品などの添加物に多く、過剰摂取は骨の脆弱化や血管の石灰化を引き起こすおそれがあります。
カプサイシン 唐辛子の辛味成分で胃酸分泌を促すため、胃痛や下痢などの消化器症状が出ることもあります。

透析では体内の余分な水分や老廃物を除去しますが、塩分を摂り過ぎると、のどが渇いて飲水量が増加し、体重増加、透析負荷の増大を引き起こします。透析患者の塩分摂取量は1日6g未満、カリウムは1日2,000mg以下、リンは1日700mg程度が目安です。辛いものを食べるときは1日の摂取基準を超えないように注意が必要です。摂取目安量の範囲には個人差があるため、主治医の指導を優先しましょう


・日本透析医学会 慢性透析患者の食事療法基準

キムチやカレーなど代表的な辛い料理と注意点

キムチやカレー、中華料理などの代表的な辛い料理の注意点をお伝えします。

キムチ

キムチ・韓国料理

キムチは発酵食品で、腸内環境を整える作用が期待できますが、塩分とカリウムが多いため注意が必要です。白菜や大根などの野菜にはカリウムが多く含まれ、漬け汁には塩分が溶け込んでいます。白菜キムチ100gあたりの食塩相当量は2.9gです。

工夫のポイント

  • 汁気をよく切って、少量を調味料代わりに使う
  • 塩分量を減らすために、細かく刻んで炒め物などに加える
  • 塩タイプのキムチを選び、少量にとどめる

カレー

市販のカレールウ100gあたりの食塩相当量は10.6gです。1人分のカレールウ約20gだと2.1gであり、カレー1杯分で1日の塩分摂取目安の約3分の1を占めてしまう計算になります。

工夫のポイント

  • ルウを減らしてカレー粉・小麦粉・バターなどで調整する
  • カレー粉を2回に分けて入れることで、香りを強く出し塩分を控える
  • スープを飲み干さず、具材を中心に味わう

中華・タイ料理

中華料理(麻婆豆腐・担々麺など)には、豆板醤・甜麺醤などの調味料には塩分が多く含まれます。タイ料理(トムヤムクンなど)は、ハーブや酸味で味を引き立てられる反面、スープの量が多く塩分や水分を摂りすぎやすい傾向があります。

工夫のポイント

  • 辛味を出したいときは、唐辛子や山椒で代用する
  • スープは具材中心に楽しむ
  • 唐辛子は取り過ぎると胃腸を刺激するので、アクセントとして少量を心がける

辛いものを安全に楽しむための工夫

カレーを食べる

辛い料理を完全に我慢する必要はありません。塩分やカリウムを抑えながらも、香りや風味を工夫すれば、食事の満足感を損なわずに味わうことができます。毎日の食事に取り入れやすい、実践的な工夫を紹介します。

香りや辛味で風味よく

辛味や香りの刺激を上手に使えば、塩分を減らしても満足感を得やすくなります。ごま、山椒、ゆず胡椒、七味唐辛子などを少量加えると味に深みが出るでしょう。カレー粉を炒め物にひと振りするのも、風味を引き立てる工夫のひとつです。

調理方法で体への負担をやわらげる

野菜は茹でこぼしてから使うとカリウムを減らせます。また、市販のルウや合わせ調味料よりも、カレー粉や調味料を自分で加減して作る方が塩分を調整しやすくなります。調理の工夫で体への負担を軽くできるでしょう。

体のサインに注意する

辛いものを楽しむときには、体の変化にも気を配りましょう。胃もたれや胃痛、便秘や下痢の悪化、動悸や息切れ、むくみや体重増加があるときは控えるサインです。体調の変化を感じたら、早めに主治医に相談しましょう。

まとめ

辛いものは、透析患者にとって塩分やカリウム、リンの摂りすぎにつながることがあります。少量を味わう、手作りで塩分を調整する、体調を見ながら量を控えるなど、ちょっとした工夫で身体への負担をやわらげられます。香りを活かしたり、調理を工夫したりしながら、体調に合わせて無理なく辛いものを楽しみましょう。

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