透析中の「トイレ離脱」が不安なあなたへ
透析中は基本的にベッド上で過ごすことになるため、透析中に「トイレに行きたくなったらどうしよう」と不安を抱えている方は少なくありません。尿意や便意の不安があり、トイレを我慢してしまうと血圧低下や意識消失を起こす場合もあります。
この記事では、透析中のトイレ離脱がなぜ問題になるのかを解説し、事前にできる対策や透析施設に相談しておくべきポイントなどを詳しくご紹介します。
なぜ透析中のトイレ離脱が問題になるのか?
一般的な血液透析では4~5時間シャントに針を刺した状態で体外に血液を循環させるため、基本的にベッドから動くことができません。トイレに行くには血液ポンプを一時停止し、透析を中断する必要があります。
透析中断によるリスクとして血圧低下や感染リスク、血栓が生じやすくなることが挙げられます。中断にはリスクがあるため、ベッド上で尿器を使う施設や、トイレに立った時点で透析を終了とする施設もあります。
トイレが近い人のための事前準備と対策
透析中のトイレ離脱を極力減らすためには次のような事前準備と対策が考えられます。
- 透析開始前にトイレを済ませておく
- 透析の前に冷たいものや脂っこいもの、食物繊維の多いものを控える
- 緩下剤の量や服用のタイミングを主治医と相談して調整する
- 腸炎や過敏性腸症候群など、排便に影響する場合は適切な治療を受ける
- トイレの不安が強い場合は紙おむつやパッドの使用を相談する
- 1日の排尿回数や尿意に困っている場合は主治医に相談し、適切な対策につなげる
心理的な不安も排尿に影響する場合があるため、心配や不安がある場合は主治医や施設スタッフに相談しましょう。
透析施設に相談するべきポイント
排泄に関する不安を感じている場合は、遠慮せず主治医や透析施設のスタッフに相談することが大切です。透析中のトイレ離脱が可能かどうか、透析中のトイレ対応の方法は施設によって異なります。透析中の血圧変動や体調によっても対応が変わることもあります。
透析施設に相談すべきポイントを以下に挙げます。
- 透析中にトイレに行けるか(トイレ離脱の可否やどのような対応になるのか)
- トイレに行きたい場合の流れや注意点(どのタイミングでスタッフに声をかけるべきか、トイレ離脱時の対応)
- パッドや紙おむつを使用したいときの施設の方針(持ち込み、購入など)
- おなかの調子が悪いときに伝えておいたほうがよい内容や伝えるタイミング
など
一般的な透析治療は週に3日以上、4~5時間程度受けることになります。トイレの不安を抱え続けると、通院そのものがつらくなってしまう場合もあるでしょう。小さな不安でも早めに相談することで、安心して治療に臨める環境づくりにつながります。
まとめ
透析中は血液回路をつないだ状態にてベッド上で長時間過ごすため、トイレ離脱に不安を感じる方は少なくありません。トイレ離脱の不安を少なくするために、事前にトイレを済ませておく、食事の内容に気をつけるなどの対策が挙げられます。また、透析施設によってトイレ離脱時の対応は異なるため、気になることは事前に相談しておきましょう。トイレの不安は一人で抱え込まず、医療スタッフと共有しながら、安心して治療に臨める環境を整えていきましょう。
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