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2021年01月25日

コーヒーは飲んでも大丈夫?透析とカフェインの関係

コーヒー好きな人にとって、一息つきたいときのホットコーヒーや夏場のアイスコーヒーは幸せに感じるひと時でしょう。

最近では、コーヒーは健康によいという報告がメディアで取り上げられることもありますが透析患者さんはコーヒーを飲んでも大丈夫なのでしょうか?

コーヒーに含まれる成分のカリウムやカフェインと透析患者さんの関係について詳しくみていきましょう。

 

透析患者さんはコーヒーを飲んでも良いの?

仕事中や食事後、休憩時など、コーヒーを嗜好品として飲んでいる透析患者さんもいらっしゃるでしょう。コーヒーは飲んでも良いですが、量と種類、飲み方に注意が必要です。

透析患者さんが気を付けたい栄養成分は塩分、水分、たんぱく質、カリウム、リンなどです。コーヒーは水分ですので、飲む際は一日の水分量を考えて多く飲みすぎないようにする必要があります。また、コーヒーはカリウムを多く含みます。

コーヒーに含まれるカリウム量を確認すると、コーヒー1杯150ml、市販の缶コーヒー1缶185gには次の量のカリウムが含まれています。

コーヒーの種類 カリウム(mg)
ドリップコーヒー(150ml) 97.5
インスタントコーヒー(熱湯150ml当たり2g) 72
砂糖とミルクの入った市販のコーヒー飲料(185g) 110

参考文献1:日本食品標準成分表2,015年版(七訂)

透析患者さんのカリウムの1日の摂取量目安は慢性透析患者の食事療法基準より2,000mg以下、リンの1日の摂取量は一般的に約700~800mgとされています。

コーヒーを1日に何杯も飲むという人や、インスタントの濃いコーヒーが好きという人は水分やカリウムの摂り過ぎになるため、飲みすぎ、インスタントコーヒーの入れすぎには注意が必要です。

 

透析患者さんとコーヒー

透析とカフェインの関係

コーヒーにはカフェインも多く含まれます。カフェインといえば利尿作用がよく知られていますが、透析患者さんは体内の水分の増加に繋がるので飲み過ぎには気をつけましょう。

「日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)」によると、カフェイン量は次のとおりです。

コーヒーの種類 カフェイン(mg)
ドリップコーヒー(コーヒー粉末10mgに対し熱湯150ml) 60
インスタントコーヒー(2g、熱湯150ml) 80

健康な人では、カフェインを一度に250~300mg程度(コーヒー4杯程度)摂取すると尿量が増え、尿中に排出されるカルシウムとナトリウムが2倍に増えることがわかっています。

一方でカフェイン150mg程度(2杯程度)では尿量は変わらず、尿中に排出されるナトリウムが多くなることが報告されています。多量のコーヒーは脱水と電解質のバランス異常を起こしやすいと言えます。

一部の研究では「健康な人はコーヒーをよく飲む人ほど死亡率が低い」という報告や、「慢性腎臓病の人でもカフェインを多く摂る人ほど死亡率が低い」という報告もあります。

ただし、両者とも透析患者さんは調査の対象外です。また、後者はカフェイン量のみを対象としており、コーヒーに含まれるカリウムなどの成分については調査されていません。そのため、透析患者もコーヒーを飲むほど死亡率が低くなるからたくさん飲む方が良いと理解してしまうのは危険です。

透析患者さんがコーヒーを飲む際に注意したいこと

透析患者さんがコーヒーを飲む際は水分、カリウム、リンの量に気を付けて1日の合計摂取量がオーバーしてしまわないように注意する必要があります。

ミルクを入れるとカリウムは高くなります。砂糖も黒砂糖には3g(スティックシュガー1本分)当たり36mgのカリウムが含まれているのでコーヒーシュガーなどを選びましょう。

外出時に手軽に飲むことのできる市販の缶コーヒーは、メーカーや商品によってカリウムやリンの量が異なります。缶コーヒーにはドリップやインスタントには含まれていない塩分も含まれています。実際に缶コーヒーの成分をみてみましょう。

1缶185g当たり カリウム(mg) リン(mg) 食塩(g) カフェイン(mg)
A社 ブラック 129.5 18.5 約0.1 92.5
A社 微糖 166.5 37 約0.2 92.5
A社 カフェオレ 148 37 約0.2 74
B社 ブラック 約117.5 約8.1 約0.1 約94.4
B社 微糖 203.5 約31.5 約0.2 136.9
B社 カフェオレ 約128 40.7 約0.2 約57.4
C社 ブラック 111 18.5 約0.1 74
C社 微糖 222 37 約0.2 129.5

参考文献A社:サントリー・ボス

参考文献B社:ダイドー

参考文献C社:アサヒ・ワンダ

ミルクが入っているコーヒーはブラックよりもカリウムやリン、塩分が高くなります。メーカーによっても含まれるカリウムやリンの量に差があるので、いつも飲んでいるコーヒーの成分をチェックしてみるのも良いかもしれません。

コーヒーを飲む際には次のことに気を付けましょう。

  • ・コーヒーの水分量も1日の水分摂取量に計算し、水分代わりに飲まない
  • ・コーヒー1杯(1缶)では、「インスタントコーヒー<ドリップコーヒー<缶コーヒー」の順にカリウムが高い
  • ・缶コーヒーはなるべくカリウム・リンの少ないものを選ぶ
  • ・ミルクはたくさん入れない
  • ・インスタントコーヒーは粉を入れすぎずにアメリカンがおすすめ
  • ・1日に何杯も飲まずに食後に1杯など、飲むタイミング・量を決める
  • ・缶コーヒーを飲む習慣のある人は家から水筒でコーヒーを持参する
  • ・砂糖は黒砂糖ではなく、上白糖やグラニュー糖などを選ぶ

透析患者さんがコーヒーを飲むポイント

まとめ

透析患者さんはコーヒーを飲んでも良いですが、カリウムやリンの摂り過ぎに気を付ける必要があります。

1日1~2杯程度にとどめ、濃いコーヒーやミルクのたっぷり入ったコーヒー、缶コーヒーは控えてブレイクタイムを楽しみましょう。


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