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【腎性貧血に注意!】透析患者が注意したい貧血とは

透析患者さんに多い腎性貧血をご存知ですか?腎臓機能の低下によって起こる貧血である腎性貧血はさまざまな合併症をもたらし、さらに合併症を進行させます。

今回は、合併症を引き起こす腎性貧血の原因や症状、治療法、日常生活で気をつけたいことについて詳しくみていきましょう。

     

腎性貧血とは

貧血とは、血液中の赤血球、赤血球の中に存在するヘモグロビンの量が少なくなり、全身が酸素不足になってさまざまな症状が見られる状態です。

実は、貧血にも種類があることをご存知でしょうか?一般的によく知られている貧血は、女性に多くみられる鉄欠乏性貧血のことを指します。鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビンをつくる材料となる鉄が不足して起こる貧血です。

一方、透析の合併症で起こる貧血のことを腎性貧血と言います。腎性貧血は、腎臓の機能低下によって赤血球をつくるホルモン分泌量が低下して起こる貧血です。

     

貧血の種類

貧血には鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血(巨赤芽球貧血)、溶血性貧血、腎性貧血などのいくつかの種類があります。

     

鉄欠乏性貧血

ヘモグロビンを作る材料となる鉄分が不足しておこる貧血で貧血全体の9割以上を占めると言われている

     

再生不良性貧血

骨髄の働きが低下して赤血球を含むすべての血液が作られなくなって起こる

     

悪性貧血(巨赤芽球貧血)

赤血球の産生に必要な葉酸やビタミンB12の不足によっておこる

溶血性貧血

赤血球の膜が寿命よりも早く破れ、ヘモグロビンが流れ出しておこる

腎性貧血

腎臓の機能の低下によって、腎臓から分泌されるエリスロポエチンというホルモンの分泌量が減っておこる

参考文献1:ニプロ 鉄と鉄欠乏性貧血

参考文献2:食事療法のすすめ方 貧血の食事

     

腎性貧血の原因

腎性貧血は腎障害による腎臓の機能低下からおこります。腎臓の機能が低下すると、赤血球をつくることを促す働きを持つ、エリスロポエチンというホルモンの分泌量が低下します。

このホルモンが減少することで起こるのが、腎性貧血です。エリスロポエチンの分泌が減ると、赤血球の量が減少し貧血が起こります。

赤血球の中には全身に酸素を運ぶヘモグロビンが存在していますが、赤血球の量が減少することでヘモグロビンの量も低下し、全身の組織に酸素が運ばれなくなるのです。

全身の組織の酸素不足が起こるとさまざまな症状がみられるようになります。続いては、腎性貧血の症状についてみていきましょう。

     

腎硬化症査

腎性貧血の症状

腎性貧血では、他の貧血同様に以下のような症状がみられます。

  • 疲れやすい
  • 息切れ
  • 動悸
  • 食欲不振
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • 顔面蒼白
  • 顔の色が黄色っぽくなる
  • 爪の色が白くなる
  • 爪の真ん中が凹む
  • 失神

貧血の症状はゆっくりと進行します。身体に症状が出ていても、他の人から質問されて初めて「そういえば、疲れやすい気がする。」程度の自覚症であるケースも少なくなく、貧血があることに気づかないこともよくあります。

腎性貧血は、全身の酸素不足が起こっている状態です。よって、心臓にも負担がかかります。腎性貧血と心疾患を合併している場合には、心疾患の悪化と腎機能の悪化と腎臓・心臓、双方の機能低下が進みやすくなります。

     

腎硬化症査

参考文献1:透析者はナゼ貧血になりやすいのか

参考文献2:腎臓機能低下と貧血

透析と腎性貧血の関係

続いては、血液透析と腎性貧血の関係性についてみていきましょう。

血液透析は、腎臓の働きを人工的に補う治療法です。機能が低下した腎臓の働きを完全に透析治療で補うことは難しく、長期間の透析治療によっていろいろな合併症が起こります。

透析の合併症には、高血圧や低血圧、貧血管系合併症、動脈硬化、感染症、栄養障害、骨代謝障害などがあり、腎性貧血も透析の合併症のひとつです。

     

透析で腎性貧血が起こる理由

透析を受ける患者さんは、腎臓がほとんで機能しない末期腎不全の状態にあります。

腎性貧血に関与しているエリスロポエチンは、腎臓で作られるホルモンです。腎不全の状態では腎臓のエリスロポエチンの分泌量が減少します。エリスロボエチンの減少により、赤血球が骨髄で作られなくなることで腎性貧血が起こるのです。

     

透析患者はほかの貧血も生じやすい

このように透析患者の場合、腎性貧血が合併しやすい状態となります。さらに、透析によって鉄が欠乏しやすい・赤血球の寿命が短くなる・感染症にかかりやすいことなどが起因し、ほかの貧血も起こりやすい状態となります。

透析を受けている患者さんは、身体から鉄が失われやすく、食事から鉄が吸収されにくいことから、鉄分不足になりやすいのです。

鉄分は赤血球を作り出すために必要で、鉄分が身体から不足すると鉄欠乏性貧血となります。

また、透析を受けていると赤血球の寿命が短くなり、これも貧血につながります。血液中の尿毒素が増えやすい・慢性の炎症が起こりやすいことから、赤血球の寿命が短くなり貧血が進行します。

さらに、透析治療を受けている場合、消化管や性器からの出血が起こりやすくなること・脾臓の機能が亢進することからも、非常に貧血が起こりやすい状態となるのです。

    

腎硬化症査

図2 透析で起こる貧血

参考文献1:透析導入と主要合併症

参考文献2:腎性貧血(1)原因と検査

透析による腎性貧血の治療方法と日常で気をつけること

腎性貧血があると、動悸や息切れ、疲れやすいなどの症状がみられ、日常生活が制限されます。貧血と腎疾患、心疾患はお互いに影響を及ぼして悪循環を起こし、心臓や腎臓の機能低下がさらに進みやすくなるので注意が必要です。

慢性腎障害で貧血がある場合、早期に治療を行うことで心肥大の改善・慢性腎障害の予防にもつながると報告されています。

このように、腎性貧血を予防・改善することが、ほかの合併症の予防・改善にもつながるのです。

腎性貧血の治療目標

腎性貧血の治療は、ヘモグロビン値を目標値まで改善することを目指します。

透析患者、保存期慢性腎不全患者(CKD)の場合、正常のヘモグロビン値よりもやや低めに維持した方が、心筋梗塞・心不全による入院、脳卒中発症例や死亡が少ないと報告されており、これによって透析患者の目標ヘモグロビン値は以下のように分けられてます。

透析患者の目標Hb値 保存期慢性腎不全(CKD)患者の目標Hb値
10 g/dL以上12g/dL未満 11 g/dL 以上 13 g/dL 未満

表1 腎性貧血の治療目標ヘモグロビン値

    

腎硬化症査

腎性貧血の治療方法

では、続いて腎性貧血の具体的な治療方法をみていきましょう。

腎性貧血の治療ではESA(erythropoiesis stimulating agent赤血球造血刺激因子製剤)の投与と鉄剤の補給が主に行われます。

    

ESAの投与

腎性貧血では分泌が減少してしまうエリスロポエチンを製剤化したESAの投与を行います。 ESAにはいくつか種類があり、透析患者では透析時に透析回路を通して投与します。腹膜透析患者や保存期腎不全患者の場合には皮下注射によってESAを投与します。

ESAの投与する量や回数は、ESAの種類や、投与開始時のHb値、目標とするHb値、貧血の改善の進み具合などによって決定されます。

鉄剤の補給

透析患者の場合、さらにESAの効果を促すために鉄剤の補給が必要となります。

まずは経口薬によって鉄剤を投与し、改善がみられない場合には注射薬で投与します。

補給しても鉄が足りない場合や、反対に過剰になる場合があります。定期的に鉄の評価を行いながら、鉄剤投与の調整を行います。

腎性貧血の日常生活で気をつけたいこと

透析患者の場合、貧血だからといって食事で積極的に鉄分を摂る必要はありません。鉄分が多く含まれる魚介類やレバー、ドライフルーツ、チョコレート、豆類、緑黄色野菜などの食品を摂りすぎてしまうと、血清カリウムやリンの濃度が上昇して腎機能の状態が悪化します。

鉄剤での補給によって十分補えるので、患者さんそれぞれが個別に医師から指導されている栄養素やカロリー基準の中でバランスの良い食事を心がけましょう。

腎硬化症査

まとめ

腎性貧血は、透析患者の合併症としてよくみられます。貧血は動悸や息切れ、倦怠感などの症状がみられ、日常生活へ支障をきたし、腎機能や心機能を悪化させます。

早期に腎性貧血の治療を行うことで合併症の予防・治療が期待できます。定期的な検査を受け、自分の体調の変化に注意して、気になる症状があれば早目に主治医に相談しましょう。

腎性貧血をしっかりと治療することで、ほか合併症の悪化を防止することが大切です。

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