ハイブリッド透析とは?診療報酬(費用)はどうなる?
透析治療には腹膜透析や血液透析といった方法がありますが、最近では「ハイブリッド透析(併用療法)」という選択肢を選ぶ方も一定数いらっしゃいます。
一方で、「どんな治療なのか」「費用は高くなるのか」「診療報酬はどう扱われるのか」といった点が分かりにくく、不安に感じる方も多いかもしれません。この記事では、ハイブリッド透析の基本的な考え方と、診療報酬や費用の仕組みについて解説します。
ハイブリッド透析とは?
ハイブリッド透析(併用療法)とは、腹膜透析(PD)と血液透析(HD)を組み合わせて行う治療方法です。一般的には、週5~6日は自宅で腹膜透析を続けながら、週に1回だけ医療機関に通院し、血液透析を併用するというスケジュールが組まれます。
腹膜透析を長く続けていると、腹膜の機能が徐々に低下し、体内の余分な水分や老廃物を十分に取り除けなくなることがあります。腹膜透析の効率が低下してきた際に、血液透析を週1回組み合わせることで水分や老廃物の除去不足を解消し、体調を維持することが可能です。
ハイブリッド透析は、腹膜透析を長く続けるためや生活の質(QOL)の維持に有用な選択肢であると位置づけられています。2024年末のデータでは、腹膜透析の患者数は10,774人であり、そのうち21.1%にあたる約2,273人がハイブリッド透析を行っています。
・中山昌明,寺脇博之「CAPD 療法の変遷と PD+HD 併用療法」
・日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在) 透析会誌2025:58(12).524~590
そもそも診療報酬って何?
診療報酬とは、医療機関が行った検査、処置、手術などの医療行為に対して、国が定めた公定価格(点数)に基づき支払われる医療費です。患者さんが病院の窓口で支払うのは、行った医療行為の総額のうちの1割〜3割(自己負担分)であり、残りの大半は健康保険組合や自治体などの保険者から医療機関へ支払われます。
透析治療も診療報酬の対象であり、腹膜透析には「在宅自己腹膜灌流指導管理料」、血液透析には「人工腎臓」といった点数が細かく決められています。ハイブリッド透析を行う場合、これらの点数をルールに従って組み合わせて計算することになります。
ハイブリッド透析になると費用はどうなる?
ハイブリッド透析では、腹膜透析と血液透析の両方を行うため、「費用が倍になるのでは」と心配されることがありますが、患者さんの支払う金額が単純に倍になるわけではありません。
医療費(診療報酬)の仕組み
診療報酬のルール上、ハイブリッド透析(併用療法)は認められており、腹膜透析の管理料に加え、実施した血液透析(週1回分など)の費用が合算して算定されます。つまり、医療機関へ支払われる治療費の総額自体は、腹膜透析のみの治療よりも高くなる傾向があります。
患者さんの自己負担額
透析治療では、複数の公費負担制度を組み合わせることで、患者さんの自己負担を抑えることが可能です。
身体障害者手帳(腎臓機能障害)を取得している場合は、自立支援医療(更生医療)の対象となります。自立支援医療(更生医療)は、医療費を国が助成する制度で、腹膜透析も対象です。原則1割負担となりますが、世帯の所得や病状に応じて、月ごとの負担上限額が設定されているのが特徴です。
さらに、高額療養費制度の特例である特定疾病療養受療証を併用することで、窓口での自己負担額は所得に関わらず、月額1万円(上位所得者は2万円)が上限となります。 また、自治体によっては重度心身障害者医療費助成制度があり、自己負担分も助成されるケースもあります。
そのため、ハイブリッド透析によって医療費の総額が増えたとしても、助成制度が適用されることで、患者さんが窓口で支払う金額はこれまで通りの上限額のままで変わらない場合がほとんどです。
まとめ
ハイブリッド透析は、腹膜透析と血液透析を組み合わせることで、治療の幅を広げる選択肢のひとつです。透析効率を補いながら生活スタイルを保てる場合もあります。診療報酬や費用は国の制度に基づいて算定されており、必要以上に負担が増えるわけではありません。治療方法や費用について不安がある場合は早めに主治医へ相談し、自分の状態や生活スタイルに合った治療を検討していくことが大切です。
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