透析の原理をやさしく解説|腎臓の代わりに体内で何が起きている?
「透析」と聞くと難しいイメージがありますが、その原理は「拡散」や「ろ過」といった身近な物理現象を利用した、非常に合理的な仕組みです。
この記事では、人工腎臓(ダイアライザー)が体内で具体的に何をしているのか、なぜ週3回の治療が必要なのかをわかりやすく解説します。
透析は「腎臓の何」を代わりにしているのか
腎臓には以下のようないくつかの役割があります。
- 老廃物を体外へ排出する
- 体内の水分量を一定に保つ
- 電解質(ナトリウム・カリウムなど)のバランスを調整する
- 赤血球をつくるホルモンを産生する
- ビタミンDを活性化する
腎臓の機能が低下すると、血液中に余分な水分や老廃物がたまり、むくみや息苦しさ、高血圧、吐き気などが起こります。透析は腎臓の働きのうち、老廃物の除去や水分・電解質の調整といった血液を浄化する機能を機械で補う治療です。
ホルモンを産生する、ビタミンDを活性化するなどは透析では補えないため、必要に応じて薬での治療が行われます。
透析で老廃物や水分が除去される仕組み
血液透析は、まず血液ポンプを使って、血液の出入り口となるバスキュラーアクセス(シャント)から血液を取り出します。取り出された血液は血液回路を通り、人工腎臓であるダイアライザーへと送られます。
このダイアライザーの中で血液中の老廃物や余分な水分が取り除かれ、浄化された血液が再び体内に戻されます。
ダイアライザーの仕組み
血液透析において、中心的な役割を果たすのがダイアライザー(人工腎臓)です。ダイアライザーの中には、直径約0.2mmの細いストロー状の透析膜(中空糸)が多数入っています。
血液はその中を流れ、外側には透析液が流れています。透析膜の壁には、目に見えないほど小さな穴がたくさん開いています。血液と透析液が透析膜を介して接することで、血液中の余分な水分や老廃物が外側へ移動する仕組みです。
「拡散」による老廃物の除去
血液中の老廃物が透析液へと移動するのは、濃度が高い方から低い方へと物質が移動する「拡散」の性質によるものです。拡散により、血液中の濃度が高い老廃物が濃度の低い透析液側へと移動します。
なぜ透析は毎日ではなく週3回なのか
健康な腎臓は24時間365日働いていますが、血液透析は「週3回、1回4時間」が標準です。毎日ではなく週3回であるのはダイアライザーの性能の向上も背景にあります。
ダイアライザーの性能の向上
米国で1960年に透析が開始されたころは、1回の治療に10時間以上かかっていたとされています。ゆっくり時間をかけて行われ、治療は長時間で回数も少ない形で行われていました。
その後、ダイアライザーの改良が進み、透析膜の面積や素材が大きく変わりました。血液と透析液が触れる面が広がったことで、短い時間でも必要な量の老廃物や水分を取り除けるようになっていきます。
生活とのバランス
現在の「週3回、1回4時間」という設定は、体に負担をかけすぎず、かつ血液のバランスを保てる目安とされたものです。ただし、腎臓のように24時間常に処理し続けることはできません。
治療と治療の間にも体内では少しずつ老廃物や水分が増えていきます。その増え方と、1回の透析で取り除ける量のバランスから、約2日に1回の間隔が適切とされています。透析をしていない時間(中1日〜2日)は老廃物が溜まり続けるため、食事での塩分・水分・カリウム制限が重要です。
また、透析は通院して数時間ベッドに横になる治療であり、毎日行うと生活への影響が大きくなります。現在の週3回という回数は、ダイアライザーが処理できる量と、日常生活とのバランスを考えた設定ともいえるでしょう。
最近では毎日透析や長時間透析など、透析の頻度や時間を延ばし、より体調を安定させて日常生活を送る透析スケジュールの選択肢もあります。
まとめ
透析は腎臓のすべての働きを代替する治療ではなく、老廃物の除去や水分・電解質の調整といった血液の状態を整える働きを補う治療です。
ダイアライザーでは血液と透析液が膜をはさんで触れ合い、老廃物や水分が体外へ移動することで負担が軽減されます。現在の週3回という間隔は、1回で除去できる量と体内で増える量のバランスなどから決められたスケジュールで、透析がない日の食事や水分管理も重要です。透析の原理を知り、治療の目的を理解して、前向きに日々の体調管理へ取り組んでいきましょう。
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