透析患者が水分制限を守らないとどうなる?体への影響とリスクを解説
透析患者さんにとって、毎日の水分管理は欠かせません。腎機能が低下すると、体内の余分な水分を尿として排泄しにくくなり、水分がたまりすぎることで心臓や血管に負担がかかる場合があります。一方で、口の渇きが強いときなどは続けることが難しいと感じる場面もあるでしょう。
この記事では、透析患者さんが水分制限を守れなかった場合に起こりうる体への影響や、心不全・肺水腫などのリスク、水分管理を続けるための工夫について解説します。
透析患者が水分制限を守らないと起こる体への影響
透析と透析の間(中2日や中1日)に増える体重の目安は、一般的にドライウェイト(DW)の3〜5%以内とされています。この範囲を超えて水分を摂りすぎた場合にみられるのが以下のような症状です。
浮腫(むくみ)と体重の急増
排泄されない水分は血管の外に漏れ出し、皮下組織に溜まります。特に足の甲やすねを指で押すと跡が残るようなむくみが現れます。また、短期間で数キロ単位の体重増加が見られるのが特徴です。
血圧の上昇
血液中の水分量が増えると、血管を流れる血液の量が増加します。これにより血管壁にかかる圧力が高まり、高血圧を引き起こし、動脈硬化を促進させる要因となります。
心臓への過剰な負荷
増えすぎた血液を全身に送り出すために、心臓は通常よりも激しくポンプ機能を働かせなければなりません。この状態が毎日続くことで、心臓の筋肉が肥大したり、機能が低下したりする原因となります。
水分制限を守らないことで高まるリスクと合併症
水分制限を守らないとむくみが出るだけではなく、命を脅かすようなリスクを招くことがあります。
心不全や肺水腫
とくに注意が必要な合併症が心不全です。横になると息苦しい(起坐呼吸)、激しい咳、ピンク色の泡のような痰がみられます。心臓が水分を処理しきれなくなると、溢れた水分が肺に溜まる肺水腫を引き起こし、緊急透析が必要になる場合もあります。
透析中の血圧低下、足のつり
水分を摂りすぎると、透析中に多くの水分を取り除かなければなりません。短時間で急激に水分を抜くと、血管の中を流れる血液量が一時的に減り、血圧が下がりやすくなります。その結果、気分不良や吐き気、足のつりなどが起こる場合も少なくありません。
脳血管障害のリスク
慢性的な高血圧と透析ごとの急激な血圧変動の繰り返しは、脳出血や脳梗塞などのリスクが高まる可能性があります。
水分制限を守るために透析患者が意識したいポイント
喉が渇いているときに水分を控えるのは、つらいと感じる場合もあるでしょう。喉が渇く前に喉を渇かせない工夫が必要です。
塩分制限を続ける
喉が渇く原因の一つは塩分の摂りすぎです。塩分(ナトリウム)を摂ると、体は濃度を一定に保とうとして水分を取り入れようとします。減塩を継続することは、水分制限を無理なく続けるためにも大切です。
喉の渇きを軽減する
喉の渇きを軽減するために、次のような方法があります。
- うがいなどで口の中をゆすぐ
- 氷1個をゆっくり舐める
- レモンや酢などの酸味で唾液を出す
小さな容器を使用する
一度に飲む量を無理なく減らすには、小さめのコップを選びましょう。コップや器を小ぶりにすることで、自然に水分量を抑える習慣が身につきます。
まとめ
透析患者さんにとっての水分制限は日常管理として必要なものです。水分制限は、心臓を守り、透析中のトラブルを予防し、長く元気に過ごすための治療の一環でもあります。
水分量だけでなく塩分にも目を向けることや、日々の体重測定は欠かせません。もしどうしてもコントロールが難しい場合は、一人で抱え込まずに管理栄養士や医師に相談してみましょう。自分の生活スタイルに合った具体的な方法を見つけていくことが大切です。
※コラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。
※当ブログの記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。










