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2021年12月07日

人工透析の年齢制限について。何歳まで受けられる?

日本の高齢化に伴い透析患者の高齢化も進んでいますが、人工透析治療は何歳まで受けることができるのでしょうか。

年齢制限や高齢者で人工透析を導入できないケースについて知っておきましょう。透析導入時の平均年齢や男女の人数の差、平均寿命などもデータをふまえて確認できる内容となっています。

人工透析に年齢制限はありません

人工透析は年齢による制限はありません。高齢者も多く人工透析を受けており、95歳を超えて透析を導入する患者もいらっしゃいます。1)

人工透析は失われた腎臓の機能を補う治療です。人工透析を受けることによって延命とQOLの維持が望め、より長く生きる目的で高齢者にも導入されています。

しかし、患者に認知症があり、長時間身体を拘束されたり、穿刺の痛みを伴ったりする治療に適応できないと予測される場合やご家族の通院介助や付き添い対応が困難な場合は透析治療を導入しない例もあります。

・1)わが国の慢性透析療法の現況(2019 年 12 月 31 日現在 )図14 導入患者 年齢と性別,2019

透析

透析治療をはじめる平均年齢は?

2019年における透析導入時の平均年齢は70.42 歳で、1985年の54.41歳から年々上がり続けています。男女別では男性69.68 歳、女性72.11 歳となっています。

透析導入時の年齢層別のデータをみると、最も割合が高い年齢層は75~79歳です。男女別では、男性では70~74歳女性では75~79歳と男女とも70歳以降になってから透析を導入する患者の割合が高いことがわかります。1)

透析導入時の平均年齢が年々上がっていることもあり、2017年以降は70歳以上の透析患者の割合が増えています。2)

・2)わが国の慢性透析療法の現況(2019 年 12 月 31 日現在 )図 6 慢性透析患者 年齢分布の推移,1982-2019

透析患者が多いのは男女どっち?

2019年の透析患者数は34 万 4,640 人です。この中で年齢、性別がわかる透析患者のうち、男性は 21万8,552人、女性は 11万4,047 人で女性よりも男性のほうが2倍程度多くなっています。3)

2019年に新たに透析を導入した3万8,556人の患者のうち、年齢と性別がわかる透析患者の内訳は、男性2万6,731人、女性1万1,825人です。新規透析導入患者も男性のほうが2倍以上多くなっています。1)

新しく透析を始める方も、透析治療をすでに受けていらっしゃる方も女性よりも男性のほうが多いことがわかります。

・3)わが国の慢性透析療法の現況(2019 年 12 月 31 日現在 ) 表 1 わが国の慢性透析療法の要約,2019

透析患者の平均寿命は?

2015年において死亡した透析患者の年齢層別のデータでは、総計2万9,078人中、一番死亡人数が多い年齢層は75~84歳(1万1,077人)です。4)一方で、2015年の日本における死亡数129万428人中、一番死亡数の多い年齢層は85~89歳(25万6,250人)です。日本全体の死亡人数の多い年齢層に比べて透析患者の死亡人数の多い年齢層は低いことがわかります。5)

また、2003年の日本の全人口における平均余命と透析人口における平均余命を比較したデータをみると、透析人口の平均余命は全人口の平均余命の半分程度です。特に60~80歳の年齢層で平均余命の差がみられます。男女別でみると、平均余命の差は女性のほうが大きくなっています。

年齢 透析患者の平均余命 全人口の平均余命
60歳 男性:9.87、 女性:11.31 男性:21.98、女性:27.49
65歳 男性:7.86、 女性:9.04 男性:18.02、女性:23.04
70歳 男性:6.24、 女性:7.11 男性:14.35、女性:18.75
75歳 男性:4.77、 女性:5.67 男性:11.09、女性:14.72
80歳 男性:3.82、 女性:4.43 男性: 8.26、女性:11.04

6)より一部抜粋



7)図2、図3、図1

透析患者の平均余命は全人口の平均余命に比べると短く、平均寿命も短いと予測されます。

ただ、1982年からの透析導入後の死亡リスクの偏移をみると、透析導入後の死亡リスクは低くなっており、透析導入後の寿命は延びているといえるでしょう。

・4)5)死亡原因(5)2015年死亡患者の年齢層別死因分布(図表23)30P
・5)厚生労働省 平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 11P 表6-1 年齢(5歳階級)別にみた死亡数・死亡率(人口 10 万対)
・わが国の慢性透析療法の現況(2005年12月31日現在)26P,28-29P
・7)2004年末調査項目に関する予後解析 図1 図2 図3

透析

まとめ

透析治療に年齢制限はありません。実際に70歳を超えて透析を始める透析患者は多くいらっしゃいます。透析患者は女性よりも男性に多く、平均余命は日本の平均余命の約半分という結果です。

しかし、透析患者の透析導入後の死亡リスクは昔より低くなっており、平均余命も長くなっていると考えられます。

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