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2021年12月13日

腎不全の症状からわかる人工透析の前兆チェック

腎臓の機能が低下すると腎不全となり、人工透析が必要となります。腎不全でみられる症状と人工透析の開始が必要とされる前兆の症状や判断基準について知っておきましょう。

人工透析治療が必要な状態とならないためにできることについても説明しています。現在は症状がない人も腎臓が悪いと指摘を受けている人も今後の参考にしてみてください。

腹膜透析

腎不全と人工透析の関係

腎臓には血液をろ過して体の中の余分な老廃物や水分を尿として排出する機能があります。

尿をつくり体外に排泄する機能以外にも、体内の水分や電解質のバランスを整えるはたらき、血圧の調整、活性化ビタミンDをつくり、丈夫な骨を維持するはたらき、赤血球の産生を助けるはたらきなども持っており、体が正常に働くための重要な役割を担っています。

腎不全と人工透析

腎不全とは、糖尿病腎症や慢性糸球体腎炎などの病気で腎臓のはたらきが悪くなる状態です。腎不全になると体の中に水分や老廃物がたまって命が危険にさらされる重篤な症状が現れます。

一度失われた腎臓の機能は元に戻ることはなく、腎臓の機能を補うには人工透析か腎移植しか方法がありません。腎臓の血液をろ過し、体の中の余分な水分や老廃物を排出するはたらきを補うための治療が人工透析です。

人工透析開始のタイミング

腎臓のはたらきが30%を切ると人工透析治療か腎移植の検討を始めます。腎臓の機能が15%未満の末期腎不全の状態になると人工透析治療か腎移植が必要となります。

東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 人工透析を必要とする腎不全について

・東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 人工透析を必要とする腎不全について
・ADOKA.JP 透析のいろいろを知ろう
・KISSEI 透析新ライフ 透析について考える 腎臓の働き~透析療法とは?

腎不全6つの症状

腹膜透析

  • むくみ
    体の中に水分がたまり、足のむくみがみられます。腎不全でみられるむくみは左右対称にみられ、むくんでいる部分を指で押すとへこんだままになるのが特徴です。余分な水分の影響で体重が増加します。
  • 体のだるさ
    老廃物が体の中にたまることや、電解質のバランスの崩れ、貧血、心不全などによって体のだるさが生じます。
  • 尿量の変化
    尿がつくられなくなるため尿量は低下します。尿を濃縮する機能が働かなくなると尿量の増加や夜間のトイレの回数が増えます。
  • 貧血
    腎臓のはたらきが悪くなると赤血球をつくる機能が低下し、赤血球が少なくなって貧血が起こります。
  • かゆみ
    老廃物が血液中や皮膚にもたまり、かゆみを誘発します。腎臓の機能低下によって皮膚が乾燥しやすくなることもかゆみの原因となります。
  • その他の症状
    老廃物が体にたまり尿毒症になると、頭痛や吐き気、嘔吐、食欲低下などの症状がみられます。さらに、心不全や肺水腫、全身の痙攣などの重篤な症状が現れることもあります。

・一般社団法人日本腎臓学会 腎臓の病気について調べる 3.腎臓がわるくなったときの症状

人工透析開始の前兆は?

人工透析開始の判断基準は厚生労働省によって定められています。腎臓の機能低下の程度や症状、日常生活の障害の程度と、年齢や合併している疾患によって総合的に点数化され、人工透析の開始が判断されます。

腎臓の機能低下としては、血清クレアチニンやクレアチニンクリアランスの持続的な値が判断基準となります。

症状としては、腎不全でみられる吐き気、悪心、食欲低下などの消化器症状やむくみ、肺水腫などの体液貯留電解質のバランス異常などの体液異常、心不全などの循環器症状、貧血などの血液症状、神経障害などの神経症状、糖尿病性増殖性網膜症などの視力障害の症状がいくつみられるかが判断基準となります。

日常生活の障害としては、日常生活上の活動の制限の程度が判断基準となります。

・東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター 腎臓内科 1.血液透析導入基準

人工透析にならないために

腎臓の機能は少しずつ低下し、初期のころは自覚症状がなく、腎臓の機能がかなり悪くなってこないとむくみや尿量の変化などの症状はみられません。そのため、症状が出てから病院に行くと、すぐに人工透析治療が必要だと医師から告げられることも少なくありません。

人工透析治療が必要な状態とならないためには、定期的に検診を受けて腎臓の機能低下にいち早く気付き、状態に応じた対応や治療を開始できるようにしておくことです。

また、日頃の生活において、栄養バランスの整った食事と適度な運動を継続的に行うことも大事です。検診で要指導や要治療の結果が出れば、そのままにせずに病院を受診して必要な治療を開始しましょう。

腎臓は食事の影響を受けやすいため、腎臓の負担となるような食べすぎや塩分の取りすぎは控えましょう。腎臓の機能低下が進んだら、水分やたんぱく質、塩分、カリウムやリンの摂取を控え、標準体重や身体活動量から求めた1日の適切なエネルギー量を守らなければなりません。

適度な運動は腎臓の機能低下を進行させる生活習慣病の予防や改善に役立ちます。筋肉量や筋力低下を予防し、日常生活の活動レベルを維持することにもつながります。

・DIAMOND online 人工透析になるか、ならないかの違いは? 腎機能が急速に落ちていく慢性腎臓病
・KISSEI 透析新ライフ 透析レシピ これだけは知っておきたい食事管理のポイント

まとめ

腎臓の機能が著しく低下すると末期腎不全となり、人工透析治療が必要です。人工透析治療の開始は、腎臓機能の状態や日常生活活動レベル、全身にみられる症状、年齢、合併症などから総合的に判断されます。

人工透析が必要な状態とならないためには日頃の食事に気を付け、適度な運動を継続して腎臓に負担をかけない生活を送ることが大切です。定期的に検診を受け、結果に従って必要な対応や治療を早期に受けられるようにしておきましょう。

腎臓は症状が出てからでは、人工透析治療が必要な状態まで悪くなっていることも多いため、早め早めの対策が重要です。

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