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2026年01月09日

透析患者は膀胱がんになりやすい?発症リスクと早期発見のポイント

透析患者さんでは、一般人口と比べてがんの発症リスクが全体的に高い1)ことが示されています。ただし、発症しやすいがんの種類は国や地域によって異なるのが実情です。この記事では、なぜ透析患者さんに膀胱がんが多いといわれるのか、膀胱がんの症状と早期発見のポイント、そして、膀胱がんの治療で注意すべき点について解説します。

がん細胞

透析患者に膀胱がんが多いといわれる理由

透析患者さんのがんの発症傾向は、国や地域によって異なります。例えば、台湾の大規模な研究では、透析患者さんが発症したがんの中で膀胱がんが最多(21.4%)という結果でした。こうした海外の報告から、透析患者は膀胱がんのリスクが高いと言われることがあります。

日本人透析患者においてリスクが高いと示されているのは、男性では腎がん、多発性骨髄腫、肝がん、結腸がんです。女性では子宮がんが挙げられます。

膀胱がんの発生要因として現在わかっている主なリスク因子は、喫煙と特定の化学物質への曝露です。長期にわたる鎮痛薬の使用、シクロホスファミド(抗がん剤)の内服歴なども膀胱がんや尿管がんのリスクを高めることが知られています。

・1)日本腎臓学会 根木茂雄ら 透析患者と悪性腫瘍

膀胱がんの症状と早期発見のポイント

膀胱がんの症状と早期に発見するためのポイントを説明します。

膀胱

膀胱がんの症状

膀胱がんでは以下の症状が見られます。

無症候性肉眼的血尿

尿に赤みやピンクがかった尿が出ます。痛みなどの症状が出ないため、尿の変化を見逃さないことが重要です。血尿は出続けるわけではなく、しばらくすると出なくなってしまいます。様子を見るのではなく、血尿が出れば検査を受けるようにしましょう。

排尿時の異常

頻尿、残尿感、排尿痛、尿が出づらいなどが見られます。透析患者さんはもともと尿の量が少ないので排尿時の違和感や痛みに注意が必要です。

他の症状

わき腹・背中・腰の痛み、足のむくみなどが出ることがあります。

膀胱がんの早期発見のポイント

透析患者さんは尿量が極端に少ないか、まったくないことが多く、膀胱がんの主な自覚症状である血尿の出現が遅れがちです。そのため、透析患者さんに発見される膀胱癌は、悪性度が高く、進行している症例が多いことが報告されています。

膀胱がんを早期に発見するには、血尿や排尿時の異常などの症状を感じたら、一時的なものだと考えて放置せずに、すみやかに泌尿器科あるいは主治医に相談することが大切です。

また、尿量が少ないために膀胱が萎縮していることが多く、超音波検査(エコー)やCT検査では診断が困難な場合があります。一方で、尿細胞診(尿に含まれる細胞を調べてがん細胞の有無を判定する検査)は、高い陽性率を示したという報告があり、定期的な検尿や尿細胞診を受けることも重要です。

・もっとよく知る!病気ガイド 泌尿器科 膀胱がん
・伊丹祥隆ら 維持血液透析患者に発生した膀胱癌の治療成績 透析会誌:2022.55(5):319~325

透析患者の膀胱がん治療で注意すべき点

透析を受けている患者さんが膀胱がんの治療に臨む際には、一般の膀胱がん治療に加えて、以下のような点に注意が必要です。

治療で起こる副作用リスク

筋層非浸潤性のがん(比較的早期のがん)に対しては、BCGや抗がん剤を膀胱内に直接注入する治療法が選択されることがあります。

しかし、透析患者さんは尿による薬剤の希釈や排泄が起こりません。そのため、高濃度の薬剤が膀胱内に長時間とどまることになります。透析患者さんは抵抗力が低く、BCG投与によって結核感染のリスクが高くなることが指摘されています。

手術における注意点

筋層浸潤性のがんでは、膀胱全摘除術が標準治療です。透析患者さんは低栄養、貧血、心不全、感染症など、多くの合併症を抱えていることが多いため、手術の身体的負担が大きくなります。

大きな手術

手術時の身体的な負担はできる限り少なくすることが重要です。また、膀胱を摘出した後には、腸管を利用する尿路変更は合併症のリスクが高いと予想されるため、症例によっては両側の尿管を縛って固定する方法が選択されることもあります。

また、手術や化学療法(抗がん剤治療)を行うにあたっては、透析患者さんの全身状態だけでなく、透析スケジュールとの綿密な調整も必要になります。

・伊丹祥隆ら 維持血液透析患者に発生した膀胱癌の治療成績 透析会誌:2022.55(5):319~325

まとめ

透析患者さんは膀胱がんのリスクが高い可能性が報告されています。発見時には進行している場合も多いため、血尿や排尿の異常がある場合は、はやめに主治医や泌尿器科に相談しましょう。膀胱がんの治療を行う際は、透析スケジュールや全身状態を考慮した治療体制が求められます。主治医や泌尿器科と相談しながら治療方針を進めていくことが大切です。

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