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2018年11月29日

【永く生きるために】糖尿病から透析患者になることの寿命へのリスクとは

人工透析を受けることになった後の寿命について様々な根拠のない書き込みやブログ等があとを絶ちません。「人工透析を受けているから寿命が短くなる」というわけではありません。

しかし、糖尿病から腎不全を併発することで感染症や心不全になるリスクが高くなることも事実です。

最も重要なのは、何が寿命を短くする原因となるのか・何に気をつけるべきかを正しく理解すること。今回は、「糖尿病から腎不全を併発することのリスク」と人工透析を受けることと寿命の関係性について詳しくみていきましょう。

     

高血糖が新たな病気を引き起こす

人工透析と寿命を延ばすためには

糖尿病を患うと、その後さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。近年は合併症の一つ「腎不全・透析」へと進行する人が後を絶ちません。国際糖尿病連合の調べでは、糖尿病を発症した患者のうち3人に1人が糖尿病性腎症を患うというデータがあります。

糖尿病性腎症は人工透析を受ける最も多い原因です。血統コントロールが悪い状態が続くことで、約10年で腎症になると言われています。

糖尿病の患者さんに最も気をつけてほしいのは、治療・食事・運動を通して糖尿病性腎症になることを防ぎ人工透析を受けずにすむようにすることです。

(出典元「糖尿病を自己管理する本」)

     

人工透析導入後の平均余命とは?

米国健康栄養調査(NHANES)によると、2型糖尿病有病者の42.3%が腎症を発症していると発表。また、2型糖尿病と腎症の合併患者では10年以内の累積全死亡リスクが31.1%と実に高い数値を示しています。腎症は特に死亡率の高い合併症なのです。

「透析治療」と「寿命」について日本透析医学会が2011年に発表した統計をまずはみてみましょう。人工透析導入を開始した平均年齢は男性が66.93歳、女性の導入時平均年齢は69.7歳。全体の平均年齢は67.8歳です。

人工透析患者の生存率ですが、日本透析医学会のデータによると1年経過で88%、5年経過で60%、10年経過で35%、15年経過で22%という結果が出ています。

     

きちんと治療に取り組むことで寿命は延ばせる

この数値の注意点ですが、日本では透析の歴史が浅く透析治療が浸透したのが最近ということもあり、正確なデータと確定できるものが少ないのが実情です。正しい知識を持ち治療に取り組むことで平均寿命に関わらず長生きすることができます。

透析患者さんでも治療・体調管理をしっかりと行うことで元気に暮らしている人が実に多くいます。大切なのは合併症を予防すること・正確な知識をもとにリスクを減らすことであるとご理解下さい。

     

糖尿病から腎不全を併発することで起こるリスクとは

人工透析患者が寿命を延ばすために

糖尿病性の人は長年の糖尿病により血管が傷んでおり、高血圧や高脂血症を招きやすく網膜症や腎不全などを併発する危険度が高くなる状態にあります。糖尿病患者さんに最も重要なのは、腎不全を併発しないことです。その理由からみていきましょう。

     

糖尿病と腎不全は治療の両立が難しい

また、糖尿病から腎不全になるとさらに他合併症を発症するリスクが高くなります。そのリスクについて、詳しく説明します。まず第一に「糖尿病」と「腎不全」は治療の方向性自体が正反対であることから両立が難しいのです。

具体的にいうと糖尿病では「低カロリーの食事と運動」が治療に必要なのに対して腎不全の治療には「高カロリーの食事と運動制限」が必要です。つまり糖尿病から腎不全を併発した場合、治療方針に矛盾が発生し治療が難しくなります。

     

長年の糖尿病治療は透析治療にもリスクをきたす

また、糖尿病から腎不全に至った場合、透析治療にも問題が発生します。糖尿病を患うと血管が高血糖が原因で脆い状態になっています。

その結果、シャント(チューブで作った人工の血管、バイパス)に適した血管がほとんどない場合が多く、シャントを指すことで化膿したり壊疽になりやすくなります。腎不全の治療をすることで血管の病気を患いやすくなってしまうのです。

     

糖尿病患者さんは腎不全を併発しないことが第一

つまり、糖尿病の合併症として腎不全を患うとさらに他の合併症になるリスクが高まるということです。「腎不全の治療と糖尿病の治療が両立しない」「血管へのリスクがある」ことから寿命を縮める合併症につながりやすくなるのです。

糖尿病と腎不全によりさらなる合併症を起こす最悪のサイクルを起こしやすくなってしまいます。糖尿病の患者さんは第一に治療・食事・運動を通して腎不全になり人工透析を受けることにならないようにすることが長生きするために重要であると理解しましょう。

次に、透析患者さんの寿命に関わる合併症・感染症について詳しくみていきましょう。

     

透析患者の寿命を縮める合併症を詳しく理解しよう

透析患者さんの死亡理由を調べてみると以下の結果となりました。

  • 1位「心疾患(心不全・心筋梗塞)」……28%
  • 2位「感染症(肺炎など)」………………20%
  • 3位「悪性腫瘍」……………………………9%
  • 4位「脳血管障害」…………………………8%
     

透析患者さんが心不全になりやすい原因とは

透析患者で最も多い死亡理由の心疾患(心不全・心筋梗塞)について詳しくご説明します。心不全は、なんらかの理由により心臓の働きが落ち心臓から全身の臓器に血液を送ることができなくなります。全身に酸素を送れなくなり、意識を消失する疾患です。

透析患者が心不全になりやすい理由は幾つかありますが、最も多い原因が、「腎臓から尿を作って水分を排出することができない・カリウムの排泄ができない」ことです。透析患者の場合、水分を過剰に摂取すると体の中に水分が溜まり、特に心臓や血管内に水分が溜まります。そうなると、心臓がパンパンに膨れ上がり、縮むことができなくなります。

それにより血液が全身に送れなくなり全身に酸素が送られなくなってしまいます。心不全を予防するためには、日々摂取する水分量に注意することが大切です。

     

透析患者さんが感染症を防ぐためには

人工透析患者が感染症を予防するには

死因2位である「感染症」について考えてみましょう。糖尿病から腎不全になると免疫力が健康な人に比べて格段に下がります。そのため健康な人であれば通常かかりにくい病原体の影響を受けやすくなってしまいます。様々な病気にかかるリスクが高くなっている状態なのです。

免疫力が低下しているだけでなく、回復するのにも健康な人に比べ時間と体力が必要になります。感染症にかかることで肺炎も引き起こしやすい状態になります。特に、インフルエンザが流行る時期には注意しましょう。感染症にかからないように普段から気をつけることが重要です。

外出するときにはマスクをするなどとにかく予防が大切です。ちょっとした風邪など、異変に気付いたら重症化する前にすぐにお医者さんに相談することも大切なことの一つです。

     

まとめ

糖尿病が悪化して糖尿病性腎症を起こす人は1/3程と言われています。まず、糖尿病患者さんは腎不全を併発しないことが長生きへの近道であると考え治療に取り組みましょう。

また、人工透析を受ける患者さんは正しい知識を持ち人工透析から合併症を伴う原因をきちんと理解しましょう。感染症や心不全を併発しないよう治療に取り組み予防することが最重要です。出来るだけ長く健康に生きるために、毎日の治療に取り組んでいきましょう。

     

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