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2025年04月25日

「クレアチニンが低い」と言われた方へ

健康診断や血液検査の結果説明の際に「クレアチニンが低い」と言われたことはありませんか?「高いのではなく低いのであれば問題がないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今後の健康に関わる重要な状態が示されている可能性があります。今回の記事では、「クレアチニン」が何かを知り、クレアチニンが低い場合に考えられる体の状態や対策について、腎機能が低下している状態を踏まえて解説します。

健康診断

クレアチニンとは?

クレアチニンは、筋肉の中でのエネルギー代謝の過程で自然に生まれる老廃物です。腎臓の糸球体で血液から濾過され、ほとんど再吸収されることなく尿として排出されます。

そのため、クレアチニンは腎機能を推定する指標としても用いられる値です。

ただし、クレアチニンの量は筋肉量に比例するため、筋肉が少ない高齢者や痩せた方、筋肉の病気がある方などでは、腎臓が悪くなくても値が低く出ることがあります。運動の影響を受けやすく、激しい運動後に一時的に数値が変化することもあるため、測定のタイミングにも注意が必要です。

・孫大輔,南学正 BUN,クレアチニンの代謝 BUN,クレアチニン高値を認めたときの鑑別診断の進め方(特集 腎疾患–診断と治療の進歩 ; 診断へのアプローチ) 日本内科学会雑誌 2008;97(5). p.929~933
・一般社団法人 日本健康倶楽部 クレアチニン

クレアチニンが低くなる原因と問題点

クレアチニンは筋肉の代謝によって生じる老廃物であり、その値は筋肉量に比例するため、筋肉量が減少すると、クレアチニンが低い状態となります。

クレアチニン値の低下には、加齢に伴って筋肉量の減少や筋力の低下がみられるサルコペニアも関連しています。サルコペニアの要因として考えられているのは、加齢や運動不足、活動性の低下、低栄養、酸化ストレス、慢性的な炎症です。

サルコペニアが進行すると、転倒リスクが増加し、日常生活動作の低下がみられ、寝たきりになるリスクも高まります。

高齢者でクレアチニンが低い場合、筋肉量の減少によってサルコペニアが進行している可能性があります。そのため、クレアチニンが低いときには、ほかの腎機能の指標や全身の筋肉量、栄養状態もあわせて評価することが重要です。

・荒井秀典 サルコペニア 診療ガイドライン 日本内科学会雑誌2020;109 p.2162-2167

腎機能低下

食事と運動でできる低いクレアチニン対策

クレアチニンが低い場合にはサルコペニアが関係していることがあります。筋肉量を維持・改善するためには、たんぱく質とエネルギーの十分な摂取、そして適切な運動が欠かせません。

クレアチニンが低い場合の食事対策

慢性腎臓病(CKD)がある場合、たんぱく質摂取量の目安は、患者の腎機能の程度や栄養状態により異なります。日本腎臓学会の提言によれば、保存期CKD患者において、サルコペニアを合併している場合には、たんぱく質摂取量を個別に調整することが推奨されています。

たんぱく質を効率よく活用するためには、1日の摂取量だけでなく朝・昼・夕の食事に均等に配分することも推奨されています。さらに、エネルギー摂取量が不足していると筋肉が分解されやすくなるため、30~35kcal/kg体重/日の十分なエネルギー補給も重要です。1)

・日本腎臓学会「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」日腎会誌 2019;61(5): 525‒556.

クレアチニンが低い場合の運動対策

筋トレ

運動療法は、個々の患者の状態に応じて適切に計画する必要があります。特に高齢者やCKD患者においては、医師やリハビリテーション専門職の指導のもと、安全かつ効果的な運動プログラムを実施することが重要です。

また、運動療法を単独で行うよりも、食事療法と併用することで除脂肪量や筋力の改善効果が高まりやすくなります。高齢者では特にエネルギー摂取の低下がサルコペニアの進行と関連しているため、運動によるエネルギー消費に見合った十分な栄養管理が重要です。

食事や運動は個々の栄養状態やサルコペニアの状態、腎機能の状態に応じた対応が必要なため、医師、管理栄養士、リハビリテーション専門職などの医療スタッフの指導のもとに実施しましょう。

・日本腎臓学会「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」日腎会誌 2019;61(5): 525‒556.
・1)透析患者の食事療法基準 透析会誌2017;50(2)133~138,

まとめ

クレアチニンが低いときは、腎機能には問題ないというだけでなく、筋肉量の減少や筋力低下が起こるサルコペニアが関連しているかもしれません。特に、腎機能の低下がみられる場合には、腎機能と筋肉量の両立を意識した食事や運動の管理が必要です。個々にあった対策が重要なため、医師や専門職の指導を受けながら、たんぱく質・エネルギーの摂取量の管理や運動療法を実施しましょう。

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