健康診断で気になる「HbA1c」って何?基準値と対策まとめ
健康診断の結果でHbA1cという項目が気になったことはありませんか?HbA1cの値は、糖尿病のリスクや合併症予防のための重要な指標です。本記事では、HbA1cと血糖値の違いや正常値、異常値の目安、そして数値が高い・低い場合の対策を解説します。HbA1cが何を表す値であるかを理解した上で血糖コントロールを意識し、糖尿病や合併症の予防に役立てましょう。
HbA1cと血糖値は違うの?
血糖値は採血したそのときの血液中のブドウ糖の濃度を示します。食事や運動、ストレスの影響を強く受けるため、数値は時間帯によっても日によっても変動します。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、糖化ヘモグロビンと呼ばれ、赤血球内のヘモグロビンにグルコース(ブドウ糖)が非酵素的に化学反応で結合したものです。血液中のグルコース濃度が高い状態が続くと、糖化が進んでHbA1cの割合も上昇します。HbA1cは過去1~2か月間の血糖の平均的な状態を示す指標として用いられます。そのため、日々の変動に左右されず、長期的な血糖コントロールの状態を把握するのに適した値です。
・糖尿病の臨床検査:HbA1cをめぐる話題 日本内科学会雑誌2013;102(12)
HbA1cの正常値と異常値の目安
2014年4月1日から国際的に使用されているNGSP値のみの記載となっています。
HbA1cの正常値と異常値は次の値です。
- 基準値: 4.6~6.2%
- 正常値:5.6%未満
- 境界値:5.6~6.0%未満
- 糖尿病が否定できない値:6.0~6.5%未満
- 糖尿病型:6.5%以上
・一般社団法人 日本糖尿病学会 HbA1cの新目標値と施行について 医療機関向けA2版ポスター.pdf
公益社団法人 東京都医師会 2012年4月からHbA1cが変わります
HbA1cが高い・低いと言われた場合の対策
糖尿病はいきなり血糖値が高くなるのではなく、少しずつ糖尿病の値まで高くなっていきます。
HbA1cが高い場合
HbA1cが高い状態が続くと、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症や糖尿病腎症、糖尿病神経障害、さらには心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる重篤な病気のリスクが高まります。糖尿病や合併症の予防のために、医師の適切な治療を受けながら、食事療法、運動療法を継続することが大切です。
- 医師の指導:定期的に医療機関を受診し、必要に応じて薬物療法を受けることが大切です。
- 食事療法:1日の摂取カロリー、具体的な食品や量の組み合わせなど、医師や管理栄養士の指導のもとにバランスの取れた食事を心がけましょう。
- 運動療法:ウォーキングなどの全身を使う有酸素運動と腹筋などの筋力を増強するためのレジスタンス運動の組み合わせの実施が推奨されます。中等度の運動強度の有酸素運動を週に150分以上、週に3回以上、レジスタンス運動は週に2~3回がすすめられます。1回の運動の望ましい継続時間は20分以上です。
HbA1cが低い場合
HbA1cが低い場合、低血糖のリスクのほか、インスリノーマ(インスリンを過剰に分泌する腫瘍)、肝硬変などが考えられます。健診でHbA1cが低く検査が必要だと言われた場合は受診して適切な対策をとることが重要です 。
・日本糖尿病学会 健康食スタートブック
・みんなの家庭の医学 HbA1cが基準値より低いのに、健診で要精密検査になった
まとめ
HbA1cの値はすぐに変化が現れる値ではありません。過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を示す値であり、糖尿病のリスクや合併症予防において重要な指標です。日々の生活習慣がHbA1cの値に大きく影響するため、健康診断でHbA1cの値が高いと言われた場合は、医療機関を受診し、医師の指導のもとの治療や食事療法、運動療法を継続することが大切です。
HbA1cの数値は、日々の食事療法や運動療法が適切に行われているかどうかを確認する目安にもなります。定期的に検査を受け、自分の生活習慣が良好な血糖コントロールに結びついているかを把握していきましょう。
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