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2022年05月11日

人工透析を中止するとどうなる?中止するケースと中止を決めるご家族の方へ

生活・時間の制約や痛みを伴う人工透析をやめたいという思いを持っている人は少なくないでしょう。しかし、人工透析を完全に中止すると、どうなってしまうのでしょうか。

人工透析を中止するケースについて確認するとともに、中止した後の透析患者の状態について知りましょう。透析中止を決める患者家族へ伝えたいことも示しているので、透析中止を考える際の参考にしてみてください。

人工透析を中止するケース

人工透析を中止するケースについて、日本透析医学会の「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」にて示されています。

人工透析を中止するケースは、「医療チーム側が透析継続の見合わせを検討する場合」と「患者側が透析継続の拒否をした場合」があります。

医療チーム側が透析継続の見合わせを検討する場合

医療チームによる検討

医療チーム側が透析継続の見合わせを検討する状況としてガイドラインでは次のことが示されています。

・多臓器不全や持続低血圧、重篤な循環・呼吸状態で透析治療の実施が命の危険につながる場合や、透析治療のたびに薬や器具で沈静しなければ安全に透析治療を行えない場合。

・脳血管障害、頭部外傷による重度の後遺症、悪性腫瘍、人工的にしか水分や栄養をとれない状態が今後も継続するなど、患者の全身状況が極めて不良で、患者本人が透析中止の意思をはっきりと示している場合。もしくは、判断能力がない患者の家族が患者の透析中止の意思を推定できる場合。

医療チーム側が透析継続の見合わせを検討する状況としては、高齢で複数の合併症を抱えて重篤である状態、血圧低下によって透析を行うと命が危険な状態、心不全・悪性腫瘍の末期などのいわゆる終末期のケースに相当します。透析施設で透析中止の決定がなされる例は、医療チーム側が透析継続の見合わせを検討する場合が大半です。

患者側が透析継続の拒否をした場合

患者側の拒否

透析の継続によって生き続けられると推定される場合でも、患者本人の強い意思による透析拒否の申し出があった場合に、透析中止を行う場合があります。

透析継続の拒否を申し出ている患者に対して、医療チーム側は家族とともに透析治療の有益性、危険性を共にわかりやすく説明し、透析が必要な治療だと患者に納得を得られるように努力を尽くしても患者の意思が変わらなければ、患者の意思を理解し、尊重するとされています。

これはいわゆる尊厳死です。日本において尊厳死についての法律規定はありません。たとえガイドラインに沿って透析治療中の尊厳死の決断をしても、法的に免責されるものではないともあります。

透析患者の尊厳死の事例報告においては、患者の強固な意思と事前指示書があるうえで、かつ、ガイドラインに沿った形での透析中止であっても、関わった医療チームは今でも本当に適切な対応であったのだろうか、透析を継続できる方法はなかったのか、透析を中止したい本当の理由があったのではないかと自問自答し続けているといいます。

それだけ、透析中止の決断は重く、簡単には答えが出せない問題です。透析を中止することがどういうことであるかを、患者自身も深く理解しておくことが大切です。

透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言 透析会誌 2020; 53 (4): 173-217
石田俊哉ほか 延命拒否により血液透析を自己中止した1症例の検討

人工透析を中止するとどうなる?

透析治療を行うことで生命維持ができる場合、人工透析治療を途中でやめるということは、個人差はあるものの数日から2週間前後での死を意味します。透析を中止してから死までの期間は決して安らかなものではありません。透析中止後3日もたてば息苦しさを感じ、辛さや不快感が生じます。

体の中には透析で除去することのできない水分がたまり、1日につき1~2kg体重が増加します。心臓や肺には水が溜まって心不全、肺水腫を起こし、呼吸困難に陥るとともに、尿毒素がたまって意識混乱などの意識障害も起こします。

患者本人が希望して透析を中止しても、後から意思が変わることも少なくなく、ガイドラインにも患者や家族が自己決定を変更した場合には状況に応じて再開されることが示されています。

維持血液透析の見合わせに関する事前指示書について
日本透析医会雑誌Vol.29, No.3
人工透析が必要な人が透析を受けないとどうなるの?

中止を決めるご家族の方へ

透析患者の終末期医療において苦慮するケースとして、患者本人の意思が明確でない場合、家族が決断できない場合、患者本人と家族の意見が合わない場合、医療チーム・患者本人と家族の意見が合わない場合が挙げられています。この4ケースを合わせると全体の約6割を占めます。

患者が自分で判断できない状況に加え、患者本人の終末期における治療ケア方針の意思が示されていない場合、患者家族が透析中止を決断するのは簡単なことではありません。

終末期を迎えた患者本人の様子を見て、透析を継続するのは患者本人への負担になるという考えと、少しでも長く生きてほしいという気持ちの中で揺れ動くのは当然でしょう。

透析中止という選択の場面で起こる多くの問題は、患者本人の意思が明確であればスムーズに進みやすいといいます。透析中止を検討しなければならなくなった時を想定し、事前に患者本人と家族間で話し合って終末期の本人の意向を文書で示しておくと、いざというときの決断が進みやすくなります。

しかし、透析中止の状況を想定して自分の意思を示すことに不快である、今はわからないといった感情を抱く透析患者も多く、終末期の受け止めが難しいケースもあります。そういったケースでは医療者にも間に入ってもらい、患者をサポートする環境を築くことも必要です。

家族だけで抱え込もうとせずに、主治医や医療スタッフを巻き込み、常日頃から情報共有をしてください。誰かに相談しておくことで患者家族の気持ちも軽くなり、いざという場面に出くわしたときにも患者の状況を理解してもらいやすくなるでしょう。

透析の見合わせ(非開始と継続中止)に対する一考察 日本透析医会雑誌 Vol. 29 No. 3 2014
「透析中止」九州でも葛藤 「家族で納得して見送れた」「弱者切り捨ての懸念は」 “患者意思”判断難しく
事前指示書作成における当院血液透析患者の現状意思調査
「透析治療中止が問いかけること」 (時論公論)

まとめ

人工透析を中止すると数日間~2週間程度で死亡します。透析と透析の間の日が空くとしんどくなるように、3日間も透析をしなければ息苦しさやしんどさが顕著になってきます。人工透析によって除去していた水分や老廃物が体にたまり続け、呼吸困難や意識障害を起こして非常に苦しい状態です。

人工透析の中止は患者の意思が尊重されるため、患者と家族の意思は一致させておく必要があります。日ごろから患者と家族間で人工透析中止についての話をしておくと、いざという場面での決断がスムーズです。患者本人の将来の受け入れが悪い場合は医療スタッフに間に入ってもらいましょう。

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