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2019年05月23日

骨粗鬆症にも注意!透析と骨密度の意外な関係

実は、透析と骨密度は切っても切り離せない密接な関係にあります。透析患者さんは、腎臓の機能低下の影響から骨粗鬆症になりやすいことが報告されています。

骨粗鬆症になると骨折しやすくなり、歩行能力の低下や生活の質の低下にもつながるため注意が必要です。

今回は、透析患者さんが骨粗鬆症になりやすい理由や、骨粗鬆症を予防するために気をつけたいことについて詳しく学んでいきましょう。

     

透析患者さんは骨粗鬆症になりやすい?

骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。特に女性の場合、閉経後の女性ホルモンの減少が原因となって骨粗鬆症を引き起こすことがよくあります。そのほか加齢や病気・薬の影響によっても、骨粗鬆症になる場合があります。

また、透析患者さんの場合、2型糖尿病や慢性腎臓病を合併していることが多いです。糖尿病・慢性腎臓病ともに骨粗鬆症を併発しやすいことから、透析患者さんも骨粗鬆症に注意が必要です。

参考文献:2016年9月号 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)について

     

2型糖尿病と骨折リスク

2型糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて、大腿骨近位部骨折が約1.4~1.7倍高いことが海外の文献より報告されています。

また、日本でも2型糖尿病の人の脊椎の圧迫骨折のリスクは通常に比べて、男性では4.7倍、女性では1.9倍高まることが報告されています。

参考文献:骨粗鬆症の予防とガイドライン

     

慢性腎臓病と骨折リスク

慢性腎臓病の持病がある場合、大腿骨近位部骨折のリスクが5.2%上昇すると言われています。

さらに慢性腎臓病と骨粗鬆症は、お互いに悪影響を与えることがわかってきています。また、慢性腎臓病・骨粗鬆症ともに加齢に従って、罹患率が上がることが分かっています。

特に高齢者の透析患者さんでは、骨粗鬆症のリスクが高くなります。

     

透析と骨粗鬆症の関係

腎臓と骨の関係

ではなぜ、慢性腎臓病だと骨粗鬆症になりやすいのでしょうか。腎臓と骨の関係について詳しくみていきましょう。

     

骨が生成されにくくなり質も悪くなる

腸管で吸収されたカルシウムが骨に運ばれることで、骨は作られます。

カルシウムの吸収には、活性化ビタミンDが必要となります。活性化ビタミンDは腎臓や肝臓でビタミンDが活性化されることによってつくられます。

慢性腎臓病で腎臓の働きが低下すると、活性化ビタミンDが生成されにくくなり、腸管でのカルシウムの吸収率が弱まり、骨が弱くなります。

また、カルシウムの吸収量が減ると、血液中のカルシウム量を補うために骨自体からもカルシウムが溶け出してしまい、さらに骨がもろくなってしまいます。

参考文献:腎臓にまつわる病気

骨粗鬆症による骨折

骨粗鬆症予防に透析患者さんが気をつけたいこと

骨粗鬆症の予防には薬物療法がありますが、ほかにも普段の生活の中で食事と運動に気をつけることも大切です。

    

透析患者さんの骨粗鬆症予防のための食事

透析患者さんは、慢性腎臓病で血液中のリンが増加することで骨粗鬆症のリスクが高くなります。よって、リンの摂取制限も、骨粗鬆症予防のためには大切です。

また、塩分を過剰に摂取するとカルシウムが尿へ排出されやすくなり、骨粗鬆症のリスクにつながります。塩分の摂り過ぎにも注意しましょう。

指導を受けている透析食の内容を守り、牛乳はリンの含まれる量の少ない低リンミルクに変えると良いでしょう。

そのほかリンやカリウムを減らすために、食材を下茹でするなどの工夫も大切です。

参考文献:CKDにおける骨折を予防する治療法

透析患者さんの骨粗鬆症予防のための運動

骨は、重力がかかることで新しい骨がつくられやすくなります。適度な運動を行って骨に重力をかけ、骨を作る働きを活発にすることも骨粗鬆症予防のためには大切です。

また、運動による筋力アップは、転倒の予防や骨折リスクを下げることにもつながります。日中に外で活動し日光に当たることで、カルシウムの吸収に必要なビタミンDが生成されまる。積極的に外に散歩に出ると良いでしょう。

ウォーキングや水中歩行、水泳などの運動や、日中に買い物や散歩などで外に出て歩くことなど、無理のない範囲で継続して行える運動や活動を行うこともおすすめです。

骨粗鬆症を予防するための運動

まとめ

透析患者さんは日々の健康のために、骨粗鬆症の予防も大切です。

骨粗鬆症を予防するには、普段の生活の中で指導を受けている透析食を守ること、適度な運動を継続することが重要になってきます。

バランスの良い食事と運動を意識して、骨粗鬆症を予防しましょう。


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