年末年始の透析はどうなる?休診日と事前に確認しておきたいポイント
年末年始は、旅行に出かけたり、帰省したりと、普段とは異なる特別な時間を過ごす人も多い時期です。しかし、透析治療を受けている患者さんにとっては、「いつも通っているクリニックは開いているか?」「帰省先や旅行先で透析は受けられるのか?」といった不安もあるでしょう。
透析治療は、基本的に週3回の通院が必要であり、年末年始だからといってスキップすることはできません。この記事では、透析患者さんが年末年始を不安なく過ごすために、事前に確認・準備しておくべきことについて、詳しく解説します。
透析クリニックの年末年始スケジュールを確認しよう
年末年始やお盆期間は休診となるクリニックが多く、日程や時間帯は施設ごとに異なります。透析は通常、週3回の通院が必要であり、中2日以上の透析間隔を空けないことが大切です。このため、 多くの透析クリニックでは年末年始も一部診療を継続していますが、時間帯が変更になることがあります。
まずは通院先のクリニックに、事前に下記の内容を確認しておきましょう。
- 年末年始の透析スケジュール
- 診療時間の変更有無
- 送迎サービスや交通機関の運行状況
- 緊急時の連絡先
特に公共交通機関やタクシーの運行本数は減少するため、移動手段の確保も必要です。年末年始は人員体制が変更になる可能性があるため、体調変化やトラブル時の対応についても確認しておくといざという時にも慌てずにすむでしょう。
年末年始の透析前に準備しておくこと
透析患者さんが年末年始を困らずに過ごすためには、年末年始の透析診療スケジュールや交通手段以外にも事前に準備すべきポイントがいくつかあります。
体調管理
冬は気温差や空気の乾燥などで体調を崩しやすく、インフルエンザなどの感染症も流行しやすい季節です。 透析を受けている方は免疫力が下がりやすい傾向があります。感染症の予防と生活リズムを維持するため、次のことを心がけましょう。
- 睡眠時間・食事時間を普段どおりに保つ
- 夜更かし・暴飲暴食・過度の飲酒を避け、イベントは無理のない範囲で楽しむ
- 外出後の手洗い・うがいを習慣化する
- 水分制限範囲内でこまめに水分を補給する
- 加湿器などで室内の乾燥を予防する
- 主治医に相談の上、インフルエンザなどのワクチン接種を検討する
また、発熱・咳・倦怠感などの症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、早めに透析クリニックへ連絡することが重要です。
食生活
年末年始はおせち料理や果物など、カリウムや塩分を多く含む食材を摂る機会が多くあります。おせち料理は保存がきくように、塩分を多く使用した食品が多いのが特徴です。おせちの練り物などは控えるようにしましょう。
| おせち料理 | 食塩相当量(100g 当たり) |
|---|---|
| かまぼこ(蒸し) | 2.5g |
| 田作り | 1.8g |
| だてまき | 0.9g |
| 紅白なます | 0.6g |
| かずのこ(塩蔵) | 1.2g |
また、みかん・栗・芋・豆類などは高カリウム食品で、摂り過ぎると高カリウム血症を起こすリスクがありますので、栗きんとんや黒豆、果物も食べ過ぎには注意が必要です。年末年始は食の誘惑が多い時期ですが、普段どおりの食生活を意識しましょう。
緊急時の判断と対応
年末年始は、通常よりも医療機関の体制が限られています。体調に異変を感じたときは、我慢せずに、まず通院している透析クリニックへ早めに連絡しましょう。
透析患者さんは尿量が少ないため、塩分や水分が体にたまりやすく、放置すると心臓や肺への負担につながることがあります。夜間に息苦しさを感じる、座ると少し楽になるなどの症状がある場合は特に注意が必要です。
透析クリニックによって休診日の対応は異なるため、年末年始の体調不良時にどのように対応すればよいか、休みに入る前に主治医やスタッフに具体的な対応方法を確認しておきましょう。
帰省・旅行中に透析が必要な場合の対応
年末年始に帰省や旅行で通院中のクリニックに通えない場合は、 臨時透析(旅行透析)の事前手配が必要です。年末年始などの旅行シーズンは予約が混み合うため、計画が決まったら早めに準備を始めましょう。
主な手続きの流れは次のとおりです。
- 主治医への相談:まず、現在通院中の主治医に旅行・帰省の予定を伝え、許可を得ます。
- 受け入れ施設の予約:ご自身で帰省先・旅行先の施設を探し(または通院先クリニックの連携クリニックに相談し)、電話などでベッドの空きを確認して予約します。
- 主治医への報告・依頼:通院中のクリニックに予約が取れたことを報告し、予約先の施設へ紹介状(診療情報提供書)や透析条件などの情報を連携してもらうよう依頼します。
当日は、帰省・旅行先の透析クリニックで案内された持ち物を忘れずに持参しましょう。
※手続きの詳細は、こちらの旅行透析の記事で詳しく解説しています。
まとめ
年末年始は、透析スケジュールの確認と体調管理が欠かせません。通院中のクリニックの休診日や診療時間を早めに確認し、透析の間隔が空かないよう調整しましょう。また、感染症予防や食生活の乱れにも注意が必要です。体調に変化を感じたときは、我慢せず早めに透析クリニックへ連絡してください。帰省や旅行の予定がある場合は、主治医に相談のうえ、臨時透析の予約を早めに手配しておきましょう。
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