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2019年01月11日

ドライウェイトって?透析の基礎について知ろう

 

透析を受けるうえで理解しておきたい知識のひとつが、ドライウェイトです。透析ではドライウェイトを基準にして透析で取り除く水分量を決めていきます。

患者さんの身体の状態をみながら定期的なドライウェイトの見直しを行います。

今回はドライウェイトとは何か、ドライウェイトの設定の仕方、見直す必要がある場合とはどのような時かについて一緒に学んでいきましょう。

     

ドライウェイトとは

ドライウェイトはThomsonによって「透析療法によって細胞外液量が是正された時点の体重」1)と定義されています。日本透析医学会ではドライウェイトは、「体液量が適正であり透析中の過度の血圧低下を生ずることなく,かつ長期的にも心血管系への負担が少ない体重」2)と定義されています。

かなり難しいのでもう少し噛み砕いて言い換えるならば、ドライウェイトとはつまり「透析患者さんの透析後の目標となる体重」のことを指します。

透析患者さんの水分基準となるドライウェイト

透析患者さんは腎臓の機能低下により、尿として排泄できる水分量が少なく、身体に水分が溜まっている状態です。この身体に溜まっている余分な水分を透析治療によって取り除く際に、どのくらいの水分量を取り除くのかはドライウェイトを基準にします。

例えば、ドライウェイトが63kgの患者さんの場合、透析前の体重が65kgであれば約2,000mlの水分を取り除くことになります。(ただし、取り除く水分量は施設によって調整が加わる場合もあります)

引用文献

ドライウェイトと体重

ドライウェイトはどのように決めるの?

では、ドライウェイトはどのように決定するのでしょうか?

透析で水分量を多く取り除きすぎると血圧が低下し、ショック状態となることもあります。反対に取り除く水分量が少なすぎると、身体に水分が多くたまった状態となり、血圧が上がり、心臓への負担が増して心不全になることもあります。

そのため、適切なドライウェイトを設定することが重要です。適切なドライウェイトの設定は、血圧コントロールを良好に保つことにつながり、さらに透析患者さんの生活の質や生命予後にも関わってきます。

ドライウェイトを設定するための指標

では、ドライウェイトはどのように決めるのでしょうか。ドライウェイトを設定する上で、血圧のコントロール状態や身体のむくみの状態、心臓への負担がかかっていないかを確認するために以下のことを指標とします。

血圧 ・極端な透析中の血圧低下がないか ・高血圧がないか(週初めの透析開始時に140/90mmHg程度)
むくみ ・全身のむくみがみられないか
心臓への負担 ・レントゲン検査にて心臓の拡大が認められないか 心胸郭比(心横径/胸郭横径×100%):男性は50%以下、女性は53%以下) ・肺に水が溜まっていないか ・心臓のエコー検査で心臓の状態の確認 ・心臓に水が溜まると分泌される心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)ホルモンの測定

参考文献

ドライウェイトと透析

こんな症状がある場合はドライウェイトを見直す必要あり

ドライウェイトを設定することで透析時に取り除く水分量を決めますが、患者さん本来の体重が減っている場合はどうなるでしょうか。体重が減った場合には、その分ドライウェイトも下げる必要があります。

反対に体重が増えた場合には、ドライウェイトを上げる必要があります。ドライウェイトを下げる場合・上げる場合について詳しくみていきましょう。

ドライウエィトを下げる必要がある場合

体重が減った場合、ドライウェイトも引き下げる必要があります。

以下の症状がみられる場合には、必要に応じてドライウェイトを下げる必要があります。

  • 血圧の上昇
  • むくみ
  • 呼吸困難
  • 心臓の拡大
  • 食欲の低下
  • 身体の痩せ

ドライウェイトを上げる必要がある場合

体重が増えているのにドライウェイトがそのままだと、透析時に水分量を取り除きすぎてしまいます。

以下の症状がみられる場合には、必要に応じてドライウェイトを上げる必要があります。

  • 圧の低下
  • 気分が悪い
  • 嘔吐
  • 身体のだるさ
  • 耳鳴り
  • こむら返り
  • ショック状態

ドライウェイトは1ヵ月ごとの見直しが理想的

適切なドライウェイトの設定を行うために、1か月ごとにドライウェイトの見直しを行うのが理想的です。心臓の拡大の程度をみる心胸郭比の値や血圧、患者さんの食事量、食欲などを参考にしてドライウェイトを設定します。

ドライウェイトと透析治療

まとめ

今回はドライウェイトについて詳しくみていきました。

透析治療後の目標体重でもあるドライウェイトを適切に設定することは、血圧の上昇や低下を防いで患者さんの血圧を良好にコントロールする上で大切です。さらに、心臓への負担を軽減し、生活の質の向上、生命予後を改善することにもつながります。

本来の体重の変動が大きいとドライウェイトの調整も難しくなるので、透析間には本来の体重をなるべく維持できるように食事の管理、水分の管理を心がけることが大切です。


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