透析患者のフレイル予防|筋力低下を防ぐ運動・食事・生活のポイント
「歩くのが遅くなった」「以前より疲れやすい」と感じていても、年齢や透析の影響だから仕方がないと考えていませんか。こうした変化には、心身の活力が低下した「フレイル」が関係している場合があります。
フレイルは、健康な状態から介護が必要な状態へ移行する途中の段階です。早い段階で変化に気づき、運動や栄養などを見直すことで、進行を緩やかにできる可能性があります。
本記事では、透析患者さんがフレイルになりやすい理由や気づきたいサイン、運動・食事・生活習慣で取り組める予防方法を解説します。
透析患者がフレイルになりやすい理由
透析患者さんは、透析を受けていない人と比べて、サルコペニアやフレイルの頻度が高いとされています。日本透析医学会の報告では、国内の血液透析患者542人を対象とした研究で21.4%がフレイル、52.6%がプレフレイルと判定されました。
透析患者さんでは、身体活動量の低下や低栄養、糖尿病などの合併症、慢性炎症など、複数の要因が筋肉量や筋力の低下に関係します。活動量が落ちると筋力が低下し、さらに動くことが負担になるという悪循環につながる場合もあります。
また、たんぱく質だけでなく、エネルギー摂取量の不足にも注意が必要です。体重減少がみられる場合にはエネルギー摂取量などを見直し、食事の見直しだけでなく、運動療法を組み合わせることも重要とされています。
フレイルのサインと早期発見のためのチェックポイント
フレイルの変化は、日常生活のなかに現れます。代表的なチェック項目には、「意図しない体重減少」「筋力低下」「疲労感」「歩行速度の低下」「身体活動量の低下」があります。
「横断歩道を渡るのに時間がかかるようになった」「以前より疲れやすい」「外出する回数が減った」など、以前との違いに目を向けましょう。体重の減少や歩く速さの変化も、フレイルに気づくきっかけとなります。
透析患者さんでは、身体機能や身体活動量を評価したうえで運動療法を始め、定期的に変化を確認することが重要とされています。歩きにくさや筋力低下を感じたら、自己判断で様子を見続けず、透析施設の医師や看護師、リハビリスタッフなどに相談しましょう。
運動・食事・生活習慣でできるフレイル予防
ここでは、運動・食事・生活習慣の面から取り組めるフレイル予防について解説します。
運動
フレイル予防では、無理に強い運動を始めるのではなく、現在の身体機能に合わせて活動量を保つことが大切です。透析患者さんの運動療法は、身体機能や合併症などを評価し、状態に応じた内容を選ぶ必要があります。
ウォーキングや椅子からの立ち座りなど、続けやすい運動を生活に取り入れるとよいでしょう。ただし、透析患者さんは循環器疾患や糖尿病などを合併している場合もあるため、新たに運動を始める際は主治医に相談してください。
食事
食事では、筋肉の材料となるたんぱく質だけに注目せず、必要なエネルギー量を確保することも重要です。透析患者さんは、病状や透析療法に応じて必要な栄養量が異なるため、主治医や管理栄養士に相談しましょう。
生活習慣
フレイル予防には身体活動と栄養に加え、社会参加も大切な要素の一つです。趣味や人との交流、買い物など、自分に合った外出や活動を続けることも、日常生活で体を動かす機会を保つことにつながります。
まとめ
透析患者さんは、身体活動量の低下や低栄養などが重なり、フレイルを合併しやすいとされています。「歩くのが遅くなった」「疲れやすい」「体重が減った」といった変化を見逃さないことが大切です。
フレイル予防では、身体機能に合わせた運動と適切な食事管理を続け、日常生活のなかで体を動かす機会や、人と交流する機会を保ちましょう。気になる変化がある場合は、透析施設の医療スタッフに相談し、自分の状態に合った予防方法を検討しましょう。
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