透析患者の服薬管理|飲み忘れ・飲み間違いを防ぐためのポイント
透析治療を受けている方のなかには、「薬の種類が多くて管理しにくい」「透析の日は生活リズムが変わり、薬を飲み忘れてしまう」と悩む方もいるでしょう。
透析患者さんは、腎臓の働きや検査値、合併症などに応じて複数の薬が処方される場合があります。さらに、食事に合わせて服用する薬や、患者さんごとに服用方法の確認が必要な薬もあり、単に「毎日同じ時間に飲む」だけでは管理しにくいケースも少なくありません。
本記事では、透析患者さんに服薬管理が重要な理由や飲み忘れ・飲み間違いが起こりやすい場面、薬ケースや一包化、家族の支援を取り入れる方法について解説します。
透析患者に服薬管理が重要な理由
透析患者さんの服薬管理では、「薬を飲んだかどうか」だけでなく、薬の種類や量、服用するタイミングを適切に把握することが重要です。
腎機能が低下すると、腎臓から排泄される薬が体内に残りやすくなり、薬によっては投与量や投与間隔の調整が必要になります。また、薬の種類によっては透析によって体外へ除去されやすいものや、透析治療との組み合わせに注意が必要なものもあります。
そのため、「以前も飲んだことがある薬だから」「市販薬なら問題ないだろう」と自己判断で薬を追加したり、処方薬の量を変えたりするのは避けましょう。
さらに、透析患者さんには、血液中のリンを調整する薬をはじめ、血圧や貧血、骨・ミネラル代謝など、状態に応じた治療が行われます。薬の錠数が増えるほど、服薬方法が複雑になりやすい点にも注意が必要です。
薬の役割がわからないまま管理すると、「症状がないから飲まなくてもよい」「この薬だけ後で飲もう」といった自己判断につながる可能性があります。薬の名前をすべて覚える必要はありませんが、「何のための薬か」「いつ飲むのか」「飲み忘れた場合はどうするのか」を確認しておきましょう。
飲み忘れ・飲み間違いが起こりやすい場面と注意点
飲み忘れや飲み間違いは、本人の注意不足だけで起こるものではありません。薬の種類や服用回数が多い場合、生活リズムの変化などが重なることで、飲み忘れや飲み間違いにつながることがあります。
透析日と非透析日で生活リズムが変わる
血液透析を受ける日は、通院や治療により普段とは異なるスケジュールで過ごします。食事の時間がずれたり、帰宅後に休んだりすることで、いつもの時間に薬を服用できない場合もあるでしょう。
薬によって注意点は異なるため、透析日の服薬方法については、主治医や薬剤師に確認してください。
食事と薬のタイミングがずれる
薬のなかには、食事との関係を考えて服用するものがあります。外食や食事時間の変更が多い方は、「朝・昼・夕」の時間だけで管理すると、実際の食事と服薬がずれる可能性があります。
「食事に合わせて飲む薬」「決まった時間に飲む薬」など、服用方法ごとに整理しておきましょう。
複数の医療機関から薬を受け取る
透析施設以外に、整形外科や皮膚科など複数の医療機関を受診している方もいます。
お薬手帳を一冊にまとめることで、医師や薬剤師が薬の飲み合わせや重複、服用量などを確認しやすくなります。健康食品やサプリメントを使用している場合も、透析施設の医療スタッフや、かかりつけの薬剤師に伝えてください。
薬ケース・一包化・家族や薬剤師の支援を活用した服薬管理の工夫
服薬管理は、「忘れないように気をつける」だけでは続けにくいことがあります。飲んだ薬を確認できる仕組みを取り入れましょう。
薬ケースの活用
薬ケースを利用すると、薬が残っているかを見て服薬状況を確認できます。「1週間分を決まった曜日に準備する」など、管理方法を決めておくこともポイントです。ケースに入れ替える場合は、薬によっては湿気や光の影響を受けるため、包装から取り出してよいか薬剤師に確認してください。
一包化の相談
薬の管理が難しい場合は、服用するタイミングごとに薬を一つの袋へまとめる「一包化」について、医師や薬剤師に相談する方法もあります。袋に服用時間を表示してもらうことで、飲み間違いを予防しやすくなります。
家族の支援
家族に週に一度、薬ケースの残りを確認してもらう、薬が変更されたときに情報を共有するなどの支援を受けると、複数の目で確認でき、間違いやすい部分を補いやすくなります。
まとめ
透析患者さんは複数の薬を服用することがあり、透析日や食事時間の変化によって、飲み忘れや飲み間違いが起こる場合があります。薬ケースや一包化を活用し、飲んだかどうかを確認できる仕組みを整えましょう。家族がいる場合は、残薬や薬の変更を定期的に確認してもらう方法もあります。
飲み忘れが続く、服用方法がわからなくなった場合は、自己判断で薬を調整せず、透析施設やかかりつけ薬局に相談しましょう。継続しやすい管理方法を医療スタッフと一緒に考え、実施することが大切です。
※コラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。
※当ブログの記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。









