透析患者の転倒予防|ふらつきの原因と安全に過ごすための対策
透析治療を受けている患者さんは、日々の生活の中で「ふらつき」を感じることが少なくありません。透析患者さんは健康な方に比べて転倒しやすく、転倒による骨折をきっかけに、身体機能や日常生活動作が低下する可能性があります。
ご自身の安全と生活の質(QOL)を守るためには、なぜ転倒しやすいのかを理解し、日常的に予防策を講じることが重要です。本記事では、透析患者さんのふらつきの原因や、安全に過ごすための具体的な対策について詳しく解説します。
透析患者がふらつきや転倒を起こしやすい理由
透析患者さんが転倒しやすい背景には、透析治療特有の身体の変化や合併症が関係しています。
血圧の変動(起立性低血圧)
透析によって短時間で体内の余分な水分が除去されるため、血圧が低下しやすくなります。特に立ち上がったときに血圧が低下し、立ちくらみやふらつきが起こることがあります。
貧血や栄養不足
腎性貧血では、めまいや立ちくらみ、全身のだるさなどがみられることがあります。また、透析患者さんでは栄養状態の低下も身体機能に影響するため、注意が必要です。
筋力低下(サルコペニア)
サルコペニアは、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態です。透析患者さんでは、加齢に加えて運動不足や低栄養、慢性疾患なども関係し、足腰の筋力が低下しやすくなります。高齢化や運動不足、低栄養などにより、足腰の筋力が低下しやすくなります。
末梢神経障害
糖尿病や尿毒症などに伴う神経障害も、透析患者さんの転倒に関わる要因の一つです。
透析後や日常生活で注意したい転倒のサイン
転倒予防のためには、転倒につながる日常のサインを見逃さないことが大切です。次のような場面や変化には、特に注意しましょう。
透析終了後・帰宅時
透析後は起立性低血圧がみられることがあり、立ちくらみやふらつきには注意が必要です。
立ち上がり時のふらつき
椅子から立ち上がる際や、椅子や便座から立ち上がるときにふらつく場合は、転倒に注意しましょう。
小さな段差でのつまずき
以前は気にならなかった敷居や絨毯の縁など、わずかな段差でつまずくことが増えた場合は、筋力やバランス能力などが低下している可能性があります。
運動・住環境・家族のサポートでできる転倒予防
転倒予防には、筋力維持、住環境の整備、家族のサポートといった筋力の維持だけでなく、住環境の整備や家族の見守りを組み合わせることが大切です。以下の3つの視点でそれぞれの対策について確認しましょう。
適度な運動による筋力維持
主治医に相談のうえ、無理のない範囲でのウォーキングや、椅子に座りながらできる足踏み運動、かかと上げ運動などを日常に取り入れ、筋力を維持しましょう。
住環境の整備
家の中の移動が安全にできるよう、環境を整えることが大切です。床に物を置かない、滑りやすいマットや絨毯は取り除くか、動かないように固定する、夜間は足元を照らすセンサーライトを設置するなどの工夫をしましょう。また、必要に応じて、トイレや浴室、玄関などに手すりを設置することも検討しましょう。
家族のサポートと見守り
「最近つまずきやすくなっていないか」「立ち上がるときにふらついていないか」など、日常生活の変化に目を向けることも大切です。本人が気づきにくい変化を家族が把握し、必要に応じて医療スタッフへ相談しましょう。
まとめ
透析患者さんの転倒には、透析に伴う血圧低下や筋力低下、合併症など、複数の要因が関係しています。転倒を予防するためには、ふらつきやつまずきなど日常生活の変化に注意し、無理のない範囲で運動を続けることや、住環境を見直すことが大切です。
透析後の立ちくらみやふらつきが続く場合は、自己判断せず、主治医や医療スタッフに相談しましょう。できることから転倒予防を取り入れ、安全に生活を続けられる環境を整えていきましょう。
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