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2018年11月29日

【障害者手帳で医療費を免除】人工透析と福祉サービス・障害年金を受ける流れ

人工透析透析治療にかかる費用は、1ヶ月につき約40万円といわれています。健康保険の自己負担額で考えても、月額12万円。これは患者さんにとって大きな負担となります。

しかし、人工透析を受けている患者さんは、申請すればほぼ自動的に「身体障害者1級」に認定されます。

身体障害者1級に認定され障害者手帳が交付されると、さまざまな福祉サービスが受けられるようになります。その申請とはどのように行うのか、どういった福祉サービスが受けられるのか、詳しく見てみましょう。

     

第1級障害者への医療費の助成

第1級障害に認定されると、医療費の助成が受けられます。ほとんどの場合、 健康保険による自己負担分の医療費がすべて無料となります。これは、障害の原因となった病気やけがに限りません。

つまり、人工透析によって第1級障害に認定された患者さんは、風邪など人工透析以外の病気で病院にかかった場合の医療費も無料になるのです。さらに、病院から発行された処方箋によって処方される薬も無料になります。そのほか、車椅子・義肢・装具といった福祉機器も無料で交付を受けられます。

ただ気をつけなければいけないのは、身体障害者への医療費の助成は、国ではなく地方自治体によって行われているということ。自治体によっては、医療費の助成に年齢制限や所得制限があるところもあります。たとえば東京都では、身体障害者手帳を取得したときの年齢が65歳を超えていると、医療費の助成は受けられません。

医療費の助成が受けられるかどうか、住民票のある市区町村に確認してみましょう。

     

障害者に対するさまざまな福祉サービス

第1級の障害者手帳を持っていると、ほかにもさまざまな福祉サービスが受けられます。

     

税金における免除

所得税や住民税といった税金は、障害者特別控除額を引いた所得金額を元に計算されます。相続税では障害者特別控除が、贈与税では障害者非課税枠の適用が受けられます。

自動車税や自動車取得税の減免もあります。

交通機関での割引

     

駐車・交通における免除・割引

自動車関係ではほかに、駐車近所外標識の交付も受けられます。この標識を提示しておけば、駐車禁止指定場所に自動車を駐めておいても駐車違反に問われることがありません。また、高速道路や有料道路の通行料も割引となります。

JRでは、障害者本人だけではなく介助を行う同行者についても、運賃の割引があります。そのほかの私鉄各社や民営バス会社でも、ほとんどが障害者割引を行っています。

タクシーは通院の際に使われることが多いため、割引券を発行している自治体が数多くあります。タクシー会社によっては、割引券がなくても障害者手帳を提示するだけで料金の割引を行っているところもあります。

     

免除・割引においての注意点

注意しておきたいのは、障害の認定や障害者手帳の交付は市区町村が行っていること。そのため、自治体によって障害者手帳のデザインや色が違っています。住民票のある自治体以外の場所で障害者手帳を提示しても、すぐには分かってもらえないこともあります。

他の都道府県で交通費の割引などの福祉サービスを受ける場合には、表紙だけでなく、所持者の氏名や障害の等級が記載されている中面も見せるようにしましょう。

     

障害者1級の認定を受けるには?

人工透析治療を受けるようになったからといって、ただ待っているだけでは障害の認定は受けられません。必要な書類などをそろえて、住民票のある市区町村に申請する必要があります。

まず住民票のある市区町村役場の窓口で、申請用紙を受け取りましょう。窓口は「障害福祉課」や「保健福祉センター」など、自治体によって違います。よく分からない場合は、役場の案内所や受付で聞いてみると良いでしょう。

     

申請に必要な書類を揃えよう

申請には、「身体障害者福祉法第15条指定医師」の認定を受けた医師が作成する「身体障害者診断書・意見書」が必要です。

この専用の用紙も役場の窓口で受け取れます。窓口に問い合わせれば、どの医療機関に「身体障害者福祉法第15条指定医師」がいるかも教えてもらえます。

     

申請書類を提出してからの流れ

医療機関で「身体障害者診断書・意見書」を作成してもらったら、申請書や本人写真などの必要書類と一緒に役場の窓口に提出します。すると各都道府県の身体障害者更生相談所で等級の判定が行われ、決定した障害等級に従って障害者手帳が交付されます。

各自治体や障害の内容によって違いますが、申請から身体障害者手帳の交付までの期間は2ヶ月程度です。市区町村の窓口から交付の連絡があるので、それに従って受け取りに行きましょう。

     

障害者手帳だけでなく「障害年金」も申請しよう

障害者年金

     

障害者認定を受けると障害年金を受け取ることが可能に

身体障害者として認定されると、障害年金の申請ができるようになります。障害年金は公的年金から支給されるものなので、国民年金の加入者には「障害基礎年金」、厚生年金の加入者には「障害基礎年金」に加えて「障害厚生年金」が支払われます。

障害基礎年金の金額は等級によって定められていて、障害年金1級が年額97万5125円、2級が年額78万100円です。

ただし、障害年金の等級は身体障害者手帳の等級とはまた別で人工透析を受けている患者さんは基本的に「障害年金2級」に分類されます。身体障害者手帳の等級と異なるのでややこしいのですが、理解しておきましょう。

     

障害年金を受ける条件とは

障害年金を申請するには、年齢や年金保険料の納付状況といった細かい条件を満たす必要かあります。申請ができる条件を満たしているかどうかは、申請を行う年金事務所の窓口で問い合わせてみましょう。

条件を満たしていた場合、「年金請求書」「受診状況等証明書」「病歴・就労状況等申立書」といった申請に必要な書類や添付書類についても教えてもらえます。

ただ、人工透析での障害年金申請の場合、問題となるポイントがひとつあります。それは、障害の原因となった病気の初診日の証明です。

     

障害年金を受け取るには初診日の証明がネックに

障害年金の支給を受けるためには、障害の原因となる病気にかかった時に公的年金の加入者だったという証明をしなければいけません。そのため、初診日が重要になってくるのです。

糖尿病から慢性腎不全を引き起こし人工透析治療に至るまでは、10年以上の長い時間がかかる場合が多いと思います。すると、初診日や糖尿病の診断を受けた医療機関を忘れてしまっている場合も。

また、初診の医療機関がすでになくなっているケースもあります。初診日や医療機関名がはっきりしていても、当時のカルテがすでに破棄されていて、初診日の証明が困難になることもあります。

     

初診日が不明でも障害年金を受給できる可能性が

障害年金を受取る条件

初診日の証明ができないときは、基本的に障害年金の申請はできません。そのため、障害年金の受給をあきらめている患者さんも多いかと思います。

しかし、医療機関のカルテなどが残っていない場合でも、申請する手段はあります。それは「受診状況等証明書が添付出来ない申立書」です。

     

第三者による証明書で受給できる可能性も

「受診状況等証明書が添付出来ない申立書」は、なぜ初診日が証明できないのかを参考資料を添えて申し出るための書類です。

これは患者さん本人が自分の記憶に従って記入するもの。申し立てを証明する参考資料としては、健康診断の結果表・生命保険の申請書・糖尿病手帳・初診医療機関の領収書・診察した医師や看護師による第三者証明などが考えられます。

患者さんにとって障害年金の申請は、証明書類をそろえるという負担も大きいものです。しかしさまざまな救済手段も設けられているので、最初からダメだと諦めずに申請してみてください。

     

まとめ

人工透析は1回に約4時間、週に3~4回受けなければならないという、生活の上で大きな制約を受けます。障害者手帳や障害年金は、そういう患者さんにとってのハンディキャップを少しでも軽減するための制度です。

できる限り利用して闘病生活の負担を減らし、糖尿病や人工透析と上手につきあっていきたいものです。

     

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